誰もが認めるポテンシャルも、浮き沈みの激しい10年間
「10勝~15勝できる能力を持っている」
今シーズンからDeNAの新監督に就任したアレックス・ラミレス監督。最下位からの巻き返しをねらう今年、新指揮官は大事な開幕戦を山口俊に託すことを発表した。
冒頭のことばはその時にラミレス新監督が語った言葉。先発に転向したこの2年間で通算11勝の右腕に、大きな期待を寄せた。
山口は2005年の高校生ドラフト1巡目でDeNA(当時横浜)に指名を受け、プロの門を叩く。力強い直球で台頭すると、2009年にはストッパーに抜擢。51試合に登板して5勝4敗、18セーブに7ホールド、防御率3.27という好成績を残した。
その後、2010年には30セーブをマークし、2011年にはキャリアハイとなる34セーブを記録。リーグを代表する抑え投手へ向けて階段を登り始めたが、2013年に入ると調子を崩し、救援失敗を連発。一軍と二軍を行ったり来たりし、セーブ数は7に留まった。
迎えた2014年も、当初はリリーフとしてスタートするが、失敗が続いて二軍落ち。そこで、当時の監督だった中畑清氏は先発転向を決断。すると、7年ぶりの先発登板で8年ぶりとなる先発勝利をマーク。6月の初勝利から、一気に8勝を積み上げた。
しかし、先発として飛躍の気配を見せながら、昨年は不安定な投球が続き、3勝6敗、防御率4.49と期待を裏切る結果に終わった。
新たな武器を携え、11年目の覚醒へ
山口の潜在能力を評価しているラミレス監督は、開幕投手だけでなく、新選手会長にも任命。責任感を芽生えさせるべく、新たな責務を与えた。
高卒でプロ入りし、今年で11年目。もうチームを支える選手になっていなければならない年齢である。チームの浮上には、大黒柱の存在が不可欠。それだけの資質があると見込んだからこそ、新指揮官は多くの仕事を任せ、期待を寄せるのだ。
そして迎えた2月1日の春季キャンプ、山口は今季に懸ける気持ちを前面に押し出していく。
開幕投手と宣言された上でのキャンプということで注目を浴びたが、毎日ブルペンで熱のこもった投球を披露。投げ込みは1000球を超えた。
実戦のフェーズに入ると、オフに習得した新球「ワンシーム」を武器に活躍。14日の中日との練習試合では、今季初登板ながら3回を投げて1安打無失点、4奪三振と順調な仕上がりをアピールした。
新たな武器も手に入れ、迎える11年目の新シーズン。新生DeNAの浮沈は、山口俊にかかっている。
▼ 山口俊
生年月日:1987年7月11日(28歳)
出身:大分県
経歴:柳ヶ浦高
ポジション:投手
身長/体重:187センチ/97キロ
投打:右投右打
[NPB通算] 348試 28勝39敗 111セーブ、24ホールド 奪三振578 防御率3.39