逆転勝利を呼び込んだ好走塁
第4回WBCを来年に控えた侍ジャパンが、チャイニーズ・タイペイとの強化試合2連戦で連勝。世界一奪還へ向けて幸先の良いスタートをきった。
特に6日に行われた試合は「足」で魅せた。まずは1点を先制された直後の4回表、先頭の2番・菊池涼介(広島)が相手の意表を突くセーフティバントから一塁にヘッドスライディング。すると、慌てた相手投手が一塁へ悪送球し、菊池はその間に二塁へ。さらに外野からの送球がそれたことを見逃さず、一気に三塁を陥れた。菊池はその後、4番に入った筒香嘉智(DeNA)の犠飛でホームイン。機動力を生かし、内野安打1本と外野フライで試合を振り出しに戻した。
さらに5回には、ヒットで出塁した先頭の7番・今宮健太(ソフトバンク)がすかさず二盗。続く銀次(楽天)が右前打を放つと、相手の右翼手がボールの処理にもたつく間に、今宮が快足を飛ばしてホームに生還。貴重な追加点を奪う。
その後はチャンスを作りながらも得点を奪えずにいたが、日本が2点をリードして迎えた9回に再び「足攻」が炸裂する。
先頭の坂本勇人(巨人)が三塁線を破る二塁打で出塁すると、続く銀次の四球、炭谷銀仁朗(西武)の犠打で一死二、三塁の好機を作る。
ここで打席に入った秋山翔吾(西武)は、フルカウントからの7球目を引っ掛けて一塁へのゴロ。やや強い当たりだったが、三塁走者の坂本は「一番セーフになるプレーを選択した」と迷わず本塁へ突入。頭からホームベースに飛び込み、捕手のタッチをかいくぐる好走塁で追加点を刻んだ。
結局、このプレーをきっかけに9回だけで一挙6点を奪取した侍ジャパン。9-3で勝利を収めたこの試合、すべての得点のキッカケとなったのが積極的な“走塁”だった。
思い起こすと、日本が王座についた第1回と第2回のWBCにおいて、侍ジャパンが掲げていたのが「スモールベースボール」。その原点に立ち返ることこそ、王座奪還のカギになるのかもしれない。