充実の1年目と苦悩の2年目
プロ野球開幕まであと14日。ちょうど2週間後に、いよいよ2016年シーズンがスタートする。
開幕が近づくにつれて、激しさを増すのが開幕一軍入りをかけたバトル。そんな中、パ・リーグでは2人の3年目・大型内野手が注目を集めている。
一人目は西武の大卒3年目・山川穂高。176センチ、100キロの体型から、“おかわり2世”としても話題を集めた“大型”内野手だ。
沖縄県出身、右投右打の山川は、中部商高から富士大を経て、2013年のドラフト2位で西武に入団した。
大きな体に、愛嬌たっぷりの笑顔がトレードマーク。それでいて特技のピアノはプロ級の腕前を誇り、田辺徳雄監督が感心してしまうほど。もう一つの特技である書道は8段。入団時から話題に事欠かない“異色”のルーキーであった。
本業である野球の方でも、ルーキーイヤーから存在感を発揮する。大柄な中にもしなやかさを兼ね備えており、本家・おかわりくんこと中村剛也のような“柔らかい”打撃で本塁打を量産。1年目からファームで21本塁打を放ち、本塁打王に輝いた。
打点もイースタン2位で、ブレイクへの登竜門・フレッシュオールスターゲームでは先制2ラン含む2安打2打点の活躍で優秀選手賞も獲得するなど、充実の1年目を終える。
しかし、1年目のシーズンオフから故障が目立ち、2年目のキャンプでも早々に左膝痛を起こして離脱。体重オーバーが指摘され、田辺監督から「この世界を勘違いしている」と厳しい言葉をぶつけられた。
結局、2年目は一軍出場わずか1試合。自身も「落ちるところまで落ちた」と振り返るスランプの一年だった。
熾烈なポジション争いを勝ち抜けるか...
迎えた3年目の今シーズン、実戦が始まった頃から徐々に頭角を現すと、オープン戦に入っても快進撃は続く。11日までで打率.423は全体の4位。3本塁打はソフトバンク柳田悠岐と並ぶ2位タイ。
これには苦言を呈していた田辺監督も「ほかの若手野手の刺激になっている」と絶賛。開幕一軍はもちろん、スタメン抜擢にも含みをもたせた。
そんな山川にとって、これから壁となってくるのが「ポジション」の問題。チームの一塁はメヒア、三塁には中村剛也という強大なライバルがおり、指名打者にも森友哉という強打者がいる。森をライトで起用するにしても、かつて“左のおかわり”と呼ばれて期待を受けた坂田遼がこのオープン戦で好調を維持しているだけに、全員を同時に起用するということは不可能なのだ。
様々なタイプのスラッガーを揃える今年の西武。本塁打王を獲得した経験を持つメヒアや、昨年大ブレイクを果たした森も、このまま低調な状態が続くようであれば、うかうかしていられない。
3月25日(金)、西武のスターティング・ラインナップに誰の名前が刻まれているのか。競争を盛り上げる3年目の大砲・山川穂高に注目だ。
▼ 山川穂高(西武)
[OP戦成績] 7試 率.423(21-9) 本3 点6