球界最重量で大きな話題になった“アジャ”
プロ野球開幕まであと14日。ちょうど2週間後に、いよいよ2016年シーズンがスタートする。
開幕が近づくにつれて、激しさを増すのが開幕一軍入りをかけたバトル。そんな中、パ・リーグでは2人の3年目・大型内野手が注目を集めている。
西武・山川とともに、このオープン戦でアピールを見せている男というのが、ロッテ・井上晴哉だ。
2013年のドラフト5位で日本生命からロッテに入団。まず話題を集めたのが115キロという体重。当時中日に在籍していた中田亮二と並び、“日本人最重量選手”という称号を得る。
また、女子プロレスラーのアジャ・コングに似ているということから“アジャ”という愛称が定着。キャンプでは初の紅白戦で人生初だというランニング本塁打を放つなど大暴れを見せ、一軍のままオープン戦に臨む。
初めてのオープン戦でも、その勢いはとどまるところを知らない。15試合に出場して打率.435はトップの数字で、2本塁打、7打点。
開幕一軍はもちろんのこと、“開幕4番”を掴んでみせた。
「4番・DH」で出場した開幕のソフトバンク戦。球団の新人では64年ぶりという快挙となったが、4打数無安打。翌日も結果を残せず、わずか2試合でスタメンを外れることになった。
その後もオープン戦の好調がウソのように低迷。二軍ではフレッシュオールスターゲームで1試合2本塁打を記録する3打数3安打の大暴れでMVPに輝くも、一軍では36試合の出場で打率.211、本塁打はオープン戦と変わらない2本のみ。最終的にはプロの厳しさを痛感する1年となってしまった。
2年目はキャンプも開幕戦も二軍スタート。左手指の骨折など、故障にも悩まされながら、8月にようやく一軍昇格。しかし、5試合・11打数で2安打の打率.184と結果を残すことはできず。ほどなくして二軍に戻ることになる。
それでも、ファームでは54試合で打率.323、7本塁打、40打点と存在感を発揮。井口資仁やサブローといったお手本となるベテラン選手と時間を共にし、着実に力を蓄えた。
チームのピンチは最大のチャンス!
そして、たくわえてきた力を発揮する機会が訪れる。
3年目の春季キャンプも二軍からのスタートとなるも、実戦が始まる直前の2月12日に一軍招集。14日に行われた台湾・Lamigoとの練習試合でいきなり3安打を放ち、結果を残すと、20日のオープン戦・中日戦では三塁打に2ランとアピールに成功した。
加えて、オープン戦開幕から2戦連発と結果を残していた新助っ人のナバーロがまさかの逮捕。チームに衝撃が走ったが、井上にとってはチャンスだった。
空いた4番の座に座ると、11日までのオープン戦8試合で打率.308、2本塁打、10打点。立ち込めた暗雲を振り払うような活躍を見せる。
あとは“一軍”の公式戦でどれだけの結果を残せるか。井上に立ちはだかる最も単純で、最も大きな課題がそこにある。
1年目からオープン戦と二軍戦ではしっかりとした数字を残してきた。プロ3年目とはいえど、今年で27歳。いつまでも“オープン戦番長”ではいられない。
殻を破る大きなチャンス。3年目の“アジャ”の爆発に期待したい。
▼ 井上晴哉(ロッテ)
[OP戦成績] 8試 率.308 本2 点10
※3月11日現在