イチローが挑む大記録
マーリンズのイチローが大記録に挑もうとしている。
「メジャー通算3000安打」――。ここまで2935本の安打を記録しており、残りは65本。今季中の達成に大きな期待がかかっている。
また、「3000本安打」の大記録の途中にあるのが、あのピート・ローズが持つ最多安打記録「通算4256安打」。イチローの場合は日米通算になるが、ここまで4213本の安打を積み重ねており、こちらはあと43本に迫っている。
このように、今年のイチローは例年よりも目が離せない状況にある。今年からマーリンズを率いるマッティングリー監督も、イチローをチームリーダーに指名。チーム最年長のベテランが迎えるメジャー16年目、大記録づくめのシーズンとすることができるだろうか。
イチローにかかる、意外と知られていない記録とは…
そんなイチローが狙う記録は、実は上記の2つだけではない。もうひとつの大事な記録が「通算単打数」だ。
単打、つまりヒット。安打から長打を除いた数である。
メジャー通算単打数のトップ10は以下の通りである。
【メジャー通算単打数】
1位 3215本 ピート・ローズ
2位 3054本 タイ・カッブ
3位 2642本 エディー・コリンズ
4位 2595本 デレク・ジーター
5位 2513本 ウィリー・キーラー
6位 2437本 ホーナス・ワグナー
7位 2404本 ロッド・カルー
8位 2390本 イチロー
9位 2384本 トリス・スピーカー
10位 2378本 トニー・グウィン
イチローは通算単打で8位につけている。トップ10の中で現役選手はイチローだけ。あと123本のシングルヒットを放てば、歴代5位にまで浮上することができるのだ。不可能な数字ではないだろう。
ちなみに、日本プロ野球では926本の単打を記録しており、日米通算での単打なら3316本。すでにピート・ローズを上回っているというから驚きだ。
歴代7位のロッド・カルー。1970年代には7年間で6度の首位打者に輝いたというかつての“安打製造機”は、2009年にイチローの試合を観戦に訪れたことがあった。
「挨拶を交わしただけですよ」現代の“安打製造機”は多くを語らなかったが、カルーはイチローの打撃について「フィールドの広さを理解している」とコメント。現役選手で4割を打てそうな打者にイチローの名前を挙げた。そのカルーの通算単打にも、あと14本に迫っている。
マーリンズの外野陣では4番手と言われ、出場機会が減ることが予想されているイチロー。それでも、シーズン200安打は現実的には無理だとしても、100本なら打てるのではないか。
異国の地で、誰も届くことはないと思われた記録に挑戦するイチロー。同じ時代に生きていることを誇りに思うと同時に、その挑戦を応援できることを幸運に思う。