『マネーボール』という映画をご存知だろうか。ハリウッドの人気俳優ブラッドピットが主演を務め、日本でも人気を博した映画だ。内容は、資金力のないメジャーリーグのとある球団のGMの球団経営の話である。『いかにして資金が潤沢なチームに勝つか』ということを、選手を統計から客観的に評価するセイバーメトリクスを駆使した戦略を実践し、成功を収めるストーリーだ。
結果を残し、市場価値が上がり、年俸が高騰する選手は、人気選手であっても思い切って放出する。人気や人情に左右されがちな球団経営において、統計、データでの評価を徹底し、本当に必要な戦力を揃え、結果が表れ始めていくストーリーは、実在の当時のGMビリービーンの実話を忠実に再現していると言われており、スポーツ経営のあり方に一石を投じたとも言われている。詳細は、是非実際に映画をご覧になって頂きたい。
プロ野球は開幕し、12球団の戦力やチーム状況を眺めていると、マネーボールのチームと、非常にオーバーラップするチームが一つある。それは、日本ハムだ。日本ハムの最近10年のパリーグでの順位を見ると、優勝4回、2位2回、3位2回、4位が1回、最下位が1回。最近10年で8回のAクラス入りを果たしているパリーグ屈指の強豪チームだ。
しかし2006年の前の優勝はというと、25年遡った81年。この25年の間にAクラス入りは9回(2位4回、3位5回)で、Bクラスに沈んでいることがほとんどであった。なぜ、ファイターズは強豪チームへと変化したのであろうか。
その一つの要因に、マネーボールに描かれているような『選手獲得、放出の巧みさ』あるような気がしてならない。各球団がドラフトで獲得した選手の育成に苦労するなか、今年のオープン戦の複数の試合で見られたメンバーを見渡してみると、全員が生え抜きの選手であることが多いのだ。
投手 大谷(12年1位)
捕手 大野(08年1位)
一塁 中田(07年高校生ドラフト1位)
二塁 田中賢(99年2位)
三塁 横尾(15年6位)
遊撃 中島(08年5位)
左翼 西川(10年2位)
中堅 陽(05年高校生ドラフト1位)
右翼 近藤(11年4位)
実に9人中7人が高校生で入団した生え抜きである。加えて15年盗塁王を獲得した中島や、15年シーズン打率リーグ3位の近藤など、ドラフトの下位指名を受けた選手たちがリーグを代表する選手に成長している。
それでいて、若手が中心ということもあり、15年チームの年俸総額は12球団中10位の22億9895万円。(1位のソフトバンクは46億3400万円)ドラフト指名や、シーズンオフの補強も独自路線でぶれない。ある時はソフトボール選手も指名し、またある時は、メジャー挑戦を希望する高校生や、意中の球団以外入団拒否を表明した選手もドラフト強行指名を行なってきた。
また、記憶にも新しい13年の糸井放出。糸井に加え、新人王も獲得した左の八木、オリックスは木佐貫、大引、赤田の3名、2対3のトレードであった。多くのファンの間で動揺や反対意見があったが、球団としては来季の補強戦略と共に、年俸交渉で糸井の希望条件と折り合いが付かなかった経営的な判断であったとも言われている。
それだけではない。選手のメジャー挑戦による退団も決してネガティブに捉えてはいないのだ。ダルビッシュや田中賢介の移籍を容認したが、選手の活躍による年俸交渉に応じることができないという判断に加え、ポスティングシステムの場合、交渉権を獲得したMLB球団より、多額のキャッシュが入るというメリットもある。
「育てて、活躍したら、市場に出す」。そんな目でみると、今年のキャンプをアリゾナで開催した理由の一つも、選手の世界マーケットへのお披露目という意図があったのではないかと合点がいく。フロントと選手が一体。ファイターズのチームカラーは、この言葉で表すことができる。
結果を残し、市場価値が上がり、年俸が高騰する選手は、人気選手であっても思い切って放出する。人気や人情に左右されがちな球団経営において、統計、データでの評価を徹底し、本当に必要な戦力を揃え、結果が表れ始めていくストーリーは、実在の当時のGMビリービーンの実話を忠実に再現していると言われており、スポーツ経営のあり方に一石を投じたとも言われている。詳細は、是非実際に映画をご覧になって頂きたい。
プロ野球は開幕し、12球団の戦力やチーム状況を眺めていると、マネーボールのチームと、非常にオーバーラップするチームが一つある。それは、日本ハムだ。日本ハムの最近10年のパリーグでの順位を見ると、優勝4回、2位2回、3位2回、4位が1回、最下位が1回。最近10年で8回のAクラス入りを果たしているパリーグ屈指の強豪チームだ。
しかし2006年の前の優勝はというと、25年遡った81年。この25年の間にAクラス入りは9回(2位4回、3位5回)で、Bクラスに沈んでいることがほとんどであった。なぜ、ファイターズは強豪チームへと変化したのであろうか。
その一つの要因に、マネーボールに描かれているような『選手獲得、放出の巧みさ』あるような気がしてならない。各球団がドラフトで獲得した選手の育成に苦労するなか、今年のオープン戦の複数の試合で見られたメンバーを見渡してみると、全員が生え抜きの選手であることが多いのだ。
投手 大谷(12年1位)
捕手 大野(08年1位)
一塁 中田(07年高校生ドラフト1位)
二塁 田中賢(99年2位)
三塁 横尾(15年6位)
遊撃 中島(08年5位)
左翼 西川(10年2位)
中堅 陽(05年高校生ドラフト1位)
右翼 近藤(11年4位)
実に9人中7人が高校生で入団した生え抜きである。加えて15年盗塁王を獲得した中島や、15年シーズン打率リーグ3位の近藤など、ドラフトの下位指名を受けた選手たちがリーグを代表する選手に成長している。
それでいて、若手が中心ということもあり、15年チームの年俸総額は12球団中10位の22億9895万円。(1位のソフトバンクは46億3400万円)ドラフト指名や、シーズンオフの補強も独自路線でぶれない。ある時はソフトボール選手も指名し、またある時は、メジャー挑戦を希望する高校生や、意中の球団以外入団拒否を表明した選手もドラフト強行指名を行なってきた。
また、記憶にも新しい13年の糸井放出。糸井に加え、新人王も獲得した左の八木、オリックスは木佐貫、大引、赤田の3名、2対3のトレードであった。多くのファンの間で動揺や反対意見があったが、球団としては来季の補強戦略と共に、年俸交渉で糸井の希望条件と折り合いが付かなかった経営的な判断であったとも言われている。
それだけではない。選手のメジャー挑戦による退団も決してネガティブに捉えてはいないのだ。ダルビッシュや田中賢介の移籍を容認したが、選手の活躍による年俸交渉に応じることができないという判断に加え、ポスティングシステムの場合、交渉権を獲得したMLB球団より、多額のキャッシュが入るというメリットもある。
「育てて、活躍したら、市場に出す」。そんな目でみると、今年のキャンプをアリゾナで開催した理由の一つも、選手の世界マーケットへのお披露目という意図があったのではないかと合点がいく。フロントと選手が一体。ファイターズのチームカラーは、この言葉で表すことができる。