衝撃デビューを果たした前田健太
メジャーでプレーする日本人選手たちの中で、今年の主役となりつつあるのがロサンゼルス・ドジャースの前田健太だ。
今年からメジャーに挑戦している右腕はここまで絶好調。すでに3勝を挙げ、デビュー戦では本塁打も放つ離れ業を披露。名刺代わりの大活躍を見せている。
4試合の登板で失点はわずかに1。防御率は0.36という驚異的な数字を叩き出す。なお、デビューから4度の先発で20回以上を投げ、自責点が1というのは、メジャー史上初の快挙だそう。現地時間24日のロッキーズ戦では、日米通算100勝も達成した。
前田のメジャー移籍が決まったとき、「前田はメジャーで通用するのか……」という議論が話題になった。
「スピードがない。いくらコントロールが良くても、通用しないのではないか」…。そんな論調を張っていた評論家たちを、完全に黙らせるような投球を披露している。
ドジャースで活躍した日本人投手たち
ドジャースは、もともとニューヨークのブルックリンを本拠地としていた。
「ドジャース」というチーム名がどこから来たのかというと、ブルックリンをゆっくり走るトローリーバスを市民が“よける”姿に由来するという。
子供の頃、ドッジボールで遊んだ人も多いだろう。その“ドッジ”とは、英語で「Dodge」。これは「さっとよける」ことを意味する。ドッジボールとは、相手の投げたボールに当たらないように「避ける」スポーツなのだ。「Dodgers」という愛称はそんな意外なところから来ている。
これまでにリーグ制覇21回、ワールドシリーズ優勝も6回という超名門。この球団に在籍した日本人投手は、これまでに5人いる。
【ドジャースに在籍した日本人投手】
・野茂英雄(1995年~98年、2002年~04年)
[在籍7年] 81勝66敗
・石井一久(2002年~04年)
[在籍3年] 36勝25敗
・木田優夫(2003年~04年途)
[在籍2年] 0勝1敗
・斎藤 隆(2006年~08年)
[在籍3年] 12勝7敗、81セーブ
・黒田博樹(2008年~11年)
[在籍4年] 41勝46敗
ご覧のように、実にすばらしいはたらきを見せた投手たちが並ぶ。
野茂、石井、黒田の先発投手は、1年平均で10勝以上をマーク。野茂はノーヒットノーランも達成したし、石井はデビューイヤーにいきなり14勝をマーク。黒田は黒星こそ先行しているものの、在籍4年間は全てのシーズンで防御率3点台と安定した投球でチームを支えた。
また、斎藤隆はリリーバーとして活躍。平均で20以上のセーブを挙げるなど、守護神としての役割を見事に果たしている。
なにかと日本と縁のあるドジャースというチーム
このようないい流れで来て、そして今回の前田健太だ。
伝統的に日本人と相性が良い球団なのかもしれないし、ドジャースのスカウト陣が日本の投手をよく見極めているということなのかもしれない。理由は定かではないが、どうやら日本人投手にはドジャースという水が合うようだ。
そういえば、今シーズンからドジャースの監督に就任したデーブ・ロバーツも、実は「日本人」だ。野茂がドジャースで活躍していた2002年頃に1番打者を務めていたことから、覚えている人も多いのではないだろうか。
実はこのロバーツ、1947年の沖縄が日本に返還された年に、米国人の軍人と日本人女性の間に生まれた。生誕地は沖縄だった。その直後にサンディエゴに移住したのだという。
このように、何かと日本と因縁深いドジャース。前田健太という新たな“日本人パワー”で、1988年以来となる7度目のワールドシリーズ制覇に挑む。