混戦のア・リーグ東部地区
メジャーリーグは開幕から3週間が経過し、各チーム20試合前後を消化。ナ・リーグではナショナルズが早くも貯金を10に伸ばしている。さらにカブス、ア・リーグではホワイトソックスというシカゴを本拠地とするチームも勝率7割以上をマークしている。
各地区に目を向けると、ナショナルズが所属するナ・リーグ東地区はナショナルズと最下位ブレーブスの差は10.5ゲームと早くもその戦力差が目立つ。ア・リーグ西地区は首位マリナーズから4位エンゼルスの差はわずか1.5ゲーム差。昨季躍進を遂げたアストロズが出遅れたが、挽回するのは必至だろう。
田中将大や上原浩治、田沢純一らも所属するア・リーグ東地区は日本でも注目度が高いが、現在首位のオリオールズから最下位のヤンキースまで3ゲーム差。これは6地区の中で最も小さい差で、混戦の様相を呈している。
その混戦ア・リーグ東地区で日本人投手が所属する2チームは最後まで優勝争いに加わることができるのだろうか。オリオールズや昨季地区優勝を果たしたブルージェイズも戦力が飛び抜けているわけではなく、レイズも含め5チームすべてに優勝の可能性があるだろう。
優勝するためには救援陣の働きが重要
そして優勝争いのカギは各チームの救援陣が握っているとみる。
ヤンキースは今年もミラーとベタンセスという2人のリリーバーが絶好調だ。ここまで合計19イニングを投げ、自責点はわずかに1(※25日のレンジャーズ戦でベタンセスが本塁打を浴び今季初の自責点を献上)。昨年はミラーが5月19日、ベタンセスは6月5日まで防御率0.00を保っていたが、今年は1か月近くも早くその“記録”がついえた。この2人だけでも豪華だが、今年のヤンキースにはチャップマンというメジャー屈指の剛腕投手が控えている。恋人に暴力を振るった疑いで30試合の出場停止処分を科されているが、間もなく復帰し、即クローザーに昇格する可能性が高い。
ライバル球団レッドソックスも負けていない。クローザーのキンブレルは27歳にしてすでに通算231セーブをマークしており、マリアノ・リベラの通算セーブ記録を抜く可能性が最も高いといわれる剛腕投手だ。現在の防御率は4.50と高めだが、奪三振率や被打率などは去年を上回っていて内容も防御率が示すほど悪くない。
さらに上原と田沢という日本人2人が勝利の方程式を担う。上原は10試合に投げ、防御率は3点台後半だが、失点したのは炎上した1試合のみ。ほかの9試合だけ見れば9イニングで2安打、2四球、9三振と上原らしい数字が並ぶ。そして最も好調な田沢は10試合で1失点、被打率は.103とエリートクローザー並みの結果を残している。キンブレル、上原が本調子に戻り、田沢が好調を維持できればヤンキースの3人にも見劣らない救援陣が形成されそうだ。
ヤンキースは4年ぶり、レッドソックスは3年ぶりとなる地区優勝に向けてどちらの救援陣がより強固な勝利の方程式を築けるのか。混戦ア・リーグ東地区から最後まで目が離せなさそうだ。
(データはすべて現地時間25日現在)
文=八木遊(やぎ・ゆう)