ニュース 2016.05.02. 11:30

神宮への切符は渡さない 関甲新リーグが稀に見る混戦状態

神宮行きの切符を目指す地方リーグの選手たち


 高校野球の聖地は、甲子園。社会人野球の聖地は東京ドーム。そして、全国の大学野球リーグに所属する全ての大学野球選手が目指す聖地は、「神宮」である。大学野球と聞いて、最初に思い浮かべるのは、やはり最も華があると言われている東京六大学リーグであろうか。

 春秋と年2回のリーグ戦を戦うが、試合会場は、毎週土日の神宮球場である。東京六大学に所属する大学は、早稲田、法政、明治、慶応、立教、東京の六大学一部制のため、入れ替え戦などは存在しない。

 そして東京六大学に並ぶ屈指のリーグが東都リーグだろう。同リーグは、21チームの4部制で、上部リーグの最下位と下部リーグの優勝チームがシーズンごとに入れ替え戦を行なう、緊迫したリーグである。

 東都リーグ1部も、試合会場は神宮球場を中心に、平日に試合が開催される。この2つのリーグは、試合会場の立地的にもスカウトが頻繁に足を運びやすく、プロ野球を目指す選手のアピールの場としては、最高の環境であると言えよう。

 しかし、むしろこのように毎試合で野球ができ、スカウトの目にも止まりやすい東京六大学リーグや、東都リーグはむしろ例外中の例外で、全国のほとんどの大学は、地方の市営球場や、大学のグラウンドで試合を行なっているのが現状だ。

 地方リーグの大学が聖地神宮の地を踏み、スカウトの集まる場所でアピールをするためには、春でいえばリーグ戦で優勝し、全日本大学野球選手権への出場の切符を掴む必要がある。

 リーグ内の戦力状況は年によってもばらつきはあるが、地方リーグでよく見受けられるケースとして、全国の舞台「神宮」に行くために地方大学に進学する選手が多いだけに、リーグの中で選手が集中し、実質1強もしくは2強に近い状態にあり、神宮行きの切符を掛けて、決まった顔ぶれの事実上の優勝決定戦が行なわれているというものである。

大混戦の関甲新リーグ!


 関甲新リーグは事実上、上武大学と白鴎大学の2強状態であった。しかし、今年の春季リーグは、昨秋に2部を制し、一部最下位の作新学院に2連勝で悲願の一部昇格を決めた新潟医療福祉大学が台風の目になっている。

 新潟医療福祉大学は、地元の新潟明訓高校の監督を務め、夏7回、春1回の甲子園出場経験をもつ名指揮官佐藤和也監督が指揮をとる。野球部が創設されたのは2013年4月。

 今年で4年目を迎えるまだまだ歴史の浅いチームであるが、創部メンバーとして、1年からエースを務め、最速140キロ台中盤のストレート、スライダー、チェンジアップを操る左腕笠原祥太郎など、実力者ぞろいで、4年目にして一部昇格。笠原は、3年秋のリーグ戦で関甲新学生野球連盟のシーズン最多奪三振記録を更新する73三振を奪った今年のドラフト候補でもある。

 関甲新リーグ一部、5月1日時点で上武大学が勝ち点3、新潟医療福祉が勝ち点3、白鴎大学が勝ち点2。優勝争いはこの3大学。2013年春に神宮で全国制覇、昨年も全国ベスト4と、全国屈指の強豪上武大学と新潟医療福祉の首位決戦が4月30日に行なわれた。

 結果は、笠原が16奪三振の快投により3-2で新潟医療福祉大学が先勝した。5月1日の2戦目は、新潟医療福祉が3-6で敗れた。2日の第3戦に勝ち点を奪うことになれば、優勝がぐっと近づく。

 上武大学の意地か、新潟医療福祉大学の勢いか、白鴎大学の巻き返しか。符は一つ。関甲新リーグから目が離せない。
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