リーグワーストの先発陣
ここまで35試合を終え、14勝19敗2分の借金5と苦しい戦いが続く西武。順位こそ4位につけているものの、オリックスとはゲーム差なしで並んでいる状態で、最下位の楽天とも0.5ゲーム差。1日で最下位転落、なんてこともあり得る崖っぷちの状態だ。
最近の悩みといえば、先発陣の乱調。先発防御率4.67はリーグワーストの数字で、先発勝利7というのも最少。リーグ唯一のひとケタ台と、とにかく先発陣が踏ん張れない。
開幕当初の陣容はそれほど悪くなく、序盤で6連戦が組まれていなかったという日程的な余裕もあって、牧田和久をリリーフで置いておけるほどには充実した戦力であった。
それがエース・岸孝之が故障で戦線を離脱すると、昨年2ケタ11勝を挙げた十亀剣や、新助っ人のアンディ・バンヘッケン、野上亮磨といったところが軒並み低調な投球を披露。危機的状況に高橋光成や郭俊麟といった若手が先発を任されるも、チームを救う存在にはまだなれていない。
実は西武にも“死のロード”が...
そんな苦しい状況の中、西武はきょうから新たな“試練”を迎える。仙台、札幌での6連戦に、1日移動日を挟んで幕張での3連戦。3カード連続のロードに出るのだ。
長期ロードといえば、夏場の阪神の“死のロード”が有名。高校野球で甲子園球場が使われるため、その間は本拠地以外での戦いを強いられるというものだ。
とはいえ近年は京セラドーム大阪を使ってホームゲームも開催するため、以前と比べたら“地獄度”は落ちるものの、風物詩的な存在として広く知られている。
一方で、これはあまり知られていないのだが、西武は毎年この時期にロード連戦を迎える。理由は、「国際バラとガーデニングショウ」が西武ドームで開催されているため。
過去3年を振り返ってみても、昨年は期間中に3勝5敗1分と負け越しており、一昨年は3勝4敗、その前の2013年も2勝6敗とすべて負け越し。苦しい戦いを強いられてきた歴史がある。
先発陣に不安を抱えている中で迎えるこの9戦は、西武にとっての“死のロード”に他ならない。ここを乗り越えることができるか、序盤戦の大きなヤマ場を迎えている。
ドラ1ルーキーがついにベールを脱ぐ!?
西武にとって大きな試練となる9試合だが、楽しみもある。
まずは11日の楽天戦でプロ初先発が予想されている3年目左腕・佐藤勇だ。21歳の若き左腕は、今シーズン中継ぎとして一軍デビューを果たす。ここまで3試合に登板し、0勝0敗で防御率は3.00。6イニングで6つの三振を奪うなど、持ち前の三振奪取力を一軍でも発揮しており、先発デビューにも期待がかかる。
さらにもう一人、今年のドラ1右腕である多和田真三郎が、この9試合でデビュー果たす可能性が出てきている。
大学4年の昨年5月に右肩を痛め、それ以降のシーズンを棒に振った多和田。それでも西武はその素質に惚れ込み、1位指名を公言。見事一本釣りを果たしたという選手だった。
キャンプは二軍でじっくりと過ごし、夏頃のデビューへ向けて慎重な調整を行う方針であったが、先発ローテーションに離脱や不振が相次いだことから計画は前倒しに。14日に札幌で行われる日本ハム戦でのデビューが有力とされている。
今月6日に平塚で行われたDeNAとの二軍戦では、7回を5安打1失点に抑える好投。105球と球数も投げ、9つの三振を奪う上々の内容で一軍デビューに弾みをつけた。
苦しい状況を打破するには、これまでになかったパワーが必要になる。佐藤や多和田、そして一足早くローテーションに復帰した高橋光成も含め、若い力の爆発に期待したいところ。
チームを救う救世主は現れるか。“死のロード”へ挑む西武の戦いに注目だ。