大暴れの新助っ人の陰で...
今年も混戦模様のセ・リーグ。各チームが決め手を欠き、めまぐるしく首位が入れ替わってきた中で、現在首位に立っているのが中日ドラゴンズだ。
開幕前の予想では軒並みBクラス。もっと言えば「最下位」の予想が大半だった。下馬評を覆す健闘を見せているチームで、最も輝きを放つ選手といえば新助っ人のダヤン・ビシエドだろう。
開幕から3戦連発という鮮烈デビューを飾った4番は、ここまで36試合の出場で打率.326(リーグ7位)、本塁打11(同3位)、打点28(同2位タイ)という大活躍。強打者不在で悩んでいたチームを救う活躍を見せている。
そんなビシエドが開幕から評価を高めた一方、大当たりの新助っ人の陰で徐々に信頼を掴み、レギュラーの座を手中に収めようとしている選手もいる。来日2年目のリカルド・ナニータである。
開幕当初は代打での出場が主だったものの、4月12日の広島戦からは「5番」が定位置に。大暴れを見せるビシエドの後ろという重要なポジションに入り、ここまで規定未到達ながら打率.369、38安打をマークしている。
現在20試合連続安打中
昨年は打率.306をマークするも、腰痛や肘痛などの影響で出場は52試合に留まった。今年で36歳ということもあり、残留の一報が出た際にはファンからも驚きの声が挙がったが、今思えばこの選択が運命の分かれ道だった。
手術を受けた肘の不安がなくなると、スイングに力が宿る。4月23日のヤクルト戦では、エースの小川泰弘から来日2年目にして初めての本塁打を放った。
また、昨年は右投手相手での起用が主であり、対左になると出番が限られていたが、今シーズンは左投手に対して.438(32-14)と高いアベレージをマーク。得点圏打率も.433(30-13)と勝負強さまで発揮しており、今や打線に欠かせない選手となっている。
調子の波が少ないのも特徴で、4月14日の広島戦からここまで20試合連続安打中。これは球団では2013年のエクトル・ルナ(23試合連続)以来のこと。ちなみに、球団記録は1949年の西沢道夫氏が記録した25試合連続。ナニータがどこまで記録を伸ばせるか、大きな注目ポイントになる。
まもなく規定到達!セの“隠れ首位打者”
中日の快進撃を支える最大の強みが平田良介、ビシエド、ナニータからなるクリーンナップ。これに異論はないだろう。3人の成績を今一度振り返ると以下の通り。
【中日のクリーンナップ】
3.平田良介 率.326(86-28) 本4 点20 [※]
4.ビシエド 率.323(130-42) 本11 点28
5.ナニータ 率.369(103-38) 本1 点14 [※]
・[※]は規定未到達
ご覧のとおり3人が3割を軽く超える。ただし、※印が2つ付いているように、平田とナニータの2人はまだ規定打席に到達していないのだ。そのため.369という高打率を残していながら、ナニータの名前は個人成績の欄に載っていない。
5月10日時点でのセ・リーグ打撃成績を見てみると、一番上に名前があるのが広島のエルドレッド。その打率は.362となっており、ナニータを7厘下回っている。いわばナニータは“隠れ首位打者”の状態にあるのだ。
今はまだ“隠れ”状態ではあるのだが、このところスタメン出場が続いていることから打席数は順調に増加。5月10日時点の規定打席が「112」なのに対し、「108」まで迫ってきた。
これから毎日4打席に立つと仮定した場合、チーム40試合目にあたる5月14日(土)広島戦の後には規定打席に到達している計算になる。ナニータの名前が個人成績の欄に現れるのももうすぐだ。
あとは、その時に“どの位置”で出現するのか。連続試合安打とともに、ナニータの打率からも目が離せない。