完全無欠のエース・菅野
5月5日、こどもの日。東京ドームで行われた巨人-広島の首位攻防戦、1勝1敗で迎えた第3ラウンド。打線好調の広島は、巨人のエース・菅野智之の前に屈し、首位の座を明け渡した。
菅野はこれで今シーズン負けなしの4勝。勝率は10割、防御率は驚異の0.79となった。
圧巻の投球を続けている今年の菅野。もはや、誰も菅野を止めることができないのか…。あの広島打線でさえ、天谷宗一郎が本塁打を放って連続無失点には終止符を打ったものの、それでも2点を取るのがやっとだった。
立ち上がりの初回こそ丸が二塁打を放ったが、その後は2回から6回までの5イニング連続で三者凡退。手の打ちようがない。
菅野はこの試合が今シーズン7度目の登板。広島には1カ月分の膨大なデータがあり、向かっていく打者たちはこのデータを元に、配球などをじっくりと研究して打席に立った。
それでも、その“研究”を菅野は上回った。圧巻のピッチングを続ける菅野を見るべく、この日も多くの他球団スコアラーたちが陣取ったが、そのスコアラーたちの表情は硬かった。きっと明日から、他球団はこの日のデータ、映像を元に“菅野対策”を練るわけだが、ここまで成果を挙げたチームはまだない。
菅野攻略のカギは…
では、このまま誰も菅野を止めることはできないのか。いや、策はあるはずだ。この日の広島は、少しヒントをくれたかもしれない。この日の広島のスタメンは以下の通り。
1.(遊)田中 [左]
2.(ニ)菊池 [右]
3.(中)丸 [左]
4.(一)松山 [左]
5.(左)天谷 [左]
6.(右)鈴木 [右]
7.(三)安部 [左]
8.(捕)会沢 [右]
足に不安があるエルドレッドとベテランの新井貴浩を外し、4番に左の松山を起用。結果、右打者で安打を放ったのは会沢だけ。全5安打のうち、4安打が左打者だった。
会沢の1本も内野安打であり、結果的に安打となったもの。菅野の左右別の数字を見ても、左に対しての被打率が.205なのに対し、対右では.145まで落ちる。もはや右打者では太刀打ちできないのかもしれない。
菅野攻略には左打者。セオリー通り過ぎるかもしれないが、これが現時点での一番の近道なのだ。
今年も混戦模様のセ・リーグ。上位進出を争うためにも、さらにはその先の短期決戦:クライマックスシリーズを見据えた上でも、巨人のエース撃ちは、他の5球団が共通して抱える問題となる。
果たして菅野の快進撃はどこまで続くのか。そして土をつけるのはどこか。今後のセ・リーグを見ていく上での大きなポイントとなる。