チャンスメイクだけでなく長打力も発揮!
昨季、キラ星の如く現れ巨人の1番センターの座を奪ったのは、規定打席未到達ながら、打率.304の成績を残した立岡宗一郎(巨人)である。今季は1番だけでなく2番もこなしながら、出塁率.333(リーグ18位)とチャンスメーカーとしての役割をきっちりと果たしている。
さらに、今季の立岡には長打もある。昨年まで、通算本塁打数は0だったが、今季は4試合目にしてプロ初となる本塁打を放った。「たまたまです」と本人は謙遜したが、翌日には2試合連続の本塁打をライトスタンドに叩き込み、外野の間を抜く打球にも力強さが感じられる。長打率を見ても、2015年の.348から現時点で.383と伸ばしてきた。昨年のセリーグ平均長打率が.359。このペースを維持できれば、並の打者よりも長打が打てることになる。もちろんパワーヒッターとは言えないが、「1発もある」と相手バッテリーに思わせるだけでも大きな武器だ。
かつての天才打者も手放しで褒める活躍
4月3日の広島戦も見事だった。延長12回一死一塁の場面、相手投手は最速153キロを誇る豪腕外国人・ジャクソン。その外角への初球を立岡は狙い打ったかのように、左中間への2塁打を放った。足のスペシャリスト・鈴木尚広がホームインし、決勝点に。雨のなか4時間を超える試合であったが「打った球は覚えていない」というほど打席に集中していたという。かつて、天才打者と称された高橋由伸監督も、「今年の立岡は本当に内容のいい打撃をしている」と手放しで褒めるほどだ。
立岡は被災地・熊本県の出身だ。4月19日に熊本市で予定されていた巨人対中日戦は、熊本地震の影響で残念ながら中止となってしまった。3度目の決勝打を打った4月24日の試合後は、「活躍をして熊本、九州に元気な姿を届けたい」と故郷を思う気遣いも見せた。
巨人の開幕ダッシュを引っ張った“熊本男児”。きっと、地元を勇気づけ、リーグを代表する左打者に成長していくことだろう。
文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)