ニュース 2016.05.12. 11:30

「左腕不足」の球界で熾烈なバトル!侍ジャパン入りをかけた“左腕争い”に注目

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好投を続ける期待の3年目左腕・岩貞祐太(阪神) (C)KYODO NEWS IMAGES 

いよいよ来春、第4回WBCが開幕


 2017年の春、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。

 第1回、第2回大会と連覇を果たした侍ジャパンだったが、第3回大会では準決勝でプエルトリコに敗れた。第4回大会はその雪辱を期す戦いとなる。

 2013年に行われた第3回大会は、ダルビッシュ有やイチローなど、過去2大会で世界一に貢献した、いわゆる「海外組」の日本人選手達が代表を辞退。メンバーは全て日本球界から選出された。

 今度の大会も、今のところ海外組の参加の可否は不明。またしても揃って不参加となる可能性も大いにある。

 2012年に代表を常設化し、2013年から小久保裕紀監督のもとで4年間戦ってきた侍ジャパン。「海外組」選手を招集したことは今まで一度もない。たとえ「海外組」の不参加が決まったとしても、「国内組」の選手たちで歩んできた“結束力”を武器に、世界に再び挑んでいってほしい。


代表チームを支えてきた左腕


 日本が世界に誇る武器といえば、なんといっても「投手力」だろう。田中将大にダルビッシュ有、前田健太、岩隈久志、そして上原浩治に田沢純一と、いまの日本人メジャーリーガーの大半は投手が占めるように、日本産投手は世界的に見ても価値が高くなっている。

 仮に「海外組」の不参加が決定したとしても、世界と戦える投手は国内でも育ってきている。WBCという大会の経験はないものの、大谷翔平や藤浪晋太郎、菅野智之。則本昂大といったあたりは若くしてすでに球界を代表する投手にまで成長を遂げており、さらに親善試合をはじめ日米野球やプレミア12といった国際舞台での経験もある。きっと世界の並み居る強打者たちを相手にしても、好投を見せてくれることだろう。

 しかし、そんな日本の投手陣の中で危惧される問題もある。それが「左腕不足」だ。

 上で触れた投手たちは全員右腕であり、いまの球界を代表する投手といえば「右」が圧倒的に多い。過去3回のWBCにおいて、代表に選出された左腕を振り返ってみると以下の通りである。(※成績は大会前年シーズンのもの。所属は当時)


【第1回(2006年)】
藤田宗一(ロッテ) 1勝4敗、24ホールド 防2.56
和田 毅(ソフトバンク) 12勝8敗 防3.27
杉内俊哉(ソフトバンク) 18勝4敗 防2.11
石井弘寿(ヤクルト) 4勝3敗、37セーブ、10ホールド 防1.95


【第2回(2009年)】
岩田 稔(阪神) 10勝10敗 防3.28)
内海哲也(巨人) 12勝8敗 防2.73
山口鉄也(巨人) 11勝2敗、2セーブ、23ホールド 防2.32
杉内俊哉(巨人) 10勝8敗 防2.66


【第3回(2013年)】
能見篤史(阪神) 10勝10敗 防2.42
杉内俊哉(巨人) 12勝4敗 防2.04
森福允彦(ソフトバンク) 2勝5敗、17セーブ、24ホールド 防1.39
内海哲也(巨人) 15勝6敗 防1.98
大隣憲司(ソフトバンク) 12勝8敗 防2.03
山口鉄也(巨人) 3勝2敗、5セーブ、44ホールド 防0.84


 このように、WBCの前年に十分な結果を残した左腕が、少なくとも4人は代表入りしている。

 しかし、昨秋のプレミア12のメンバーを見てみると、左腕で代表入りしたのは松井裕樹(楽天)と、大野雄大(中日)の2人のみ。また、今年3月に行われたチャイニーズ・タイペイとの強化試合でも、大野と戸根千明(巨人)のみと、「左腕不足」の色合いが強くなっていることは否めないのだ。


「左で投げられる」という最大の強み


 今シーズンも開幕から1カ月が経過した。

 まだまだシーズンは始まったばかりだが、このところ貴重な“代表常連左腕”となっている中日の大野は、3試合に先発して2勝1敗、防御率2.66と今年も安定の投球。侍ジャパンの左腕の柱として、来年の大会でも招集されることが期待される。

 また、過去2回のWBC出場経験がある巨人・山口も、ここまで14試合の登板でリーグトップの9ホールドをマーク。こちらも安定した投球を披露している。

 しかし、過去3大会全てで代表入りを果たした巨人杉内は、右股関節手術からの復活を目指して現在もリハビリ中。第2回、第3回と代表入りした内海も、未だ一軍での登板が無い状態。日本を代表する左腕のベテラン2人だが、今回ばかりは厳しそうだ。

 そんな中、第1回大会の経験者であり、今年から日本球界へと復帰したソフトバンクの和田毅や、第3回大会で代表入りした森福といったWBC経験者組が好投を披露。アピールを見せる。

 さらに待望の若手左腕も徐々に頭角を現してきた。

 注目株筆頭は阪神の大卒3年目・岩貞祐太。今年に入って突如覚醒した左腕は、ここまで6試合の先発で3勝1敗、奪三振55はリーグトップで、防御率も12球団トップの0.65を記録。驚異的な成績を残している。

 さらに、ここまで1勝4敗ながらリーグ3位の防御率2.03を誇り、奪三振52は岩貞に次ぐ2位タイというDeNAのルーキー・今永昇太も気になる存在。サプライズ招集はあるか。今後の投球に期待が集まる。

 いまの球界において、「左で投げられる」というポイントは大きな強みになる。来年の春、日の丸を背負って戦う左腕は誰になるか。代表入り“アピール”という意味でも、ここからの2016年シーズンは見逃せない。

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