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捕手を守るはずが…「コリジョンルール」、導入1カ月目の“混乱”

伝統の一戦で物議...


 今シーズンからプロ野球で適用されている「コリジョンルール」。開幕前には、野球評論家や球団関係者から「こんなルールやめろ。野球がつまらなくなる」と、悪評ばかりが目に付いたが、今になって「やはり、それ見ろ」という状況になっている。

 物議を醸しているのが5月11日、甲子園球場で行われた阪神-巨人戦のワンシーンだ。

 3回表、二死二塁で打席には脇谷亮太という場面。脇谷がセンターへ安打を放ち、二塁走者がホームへと突っ込む。しかし、阪神はこれを大和の好返球でアウトにし、本塁封殺。見事に相手の勢いを止めてみせた。

 ところが、三塁側から巨人の高橋由伸監督が登場し、審判にプレーの確認を要求。ホームのクロスプレーを巡ってビデオ判定が行われることになった。

 すると、しばらくの協議の結果、判定がアウトからセーフに変わる。新たに導入された「コリジョンルール」が適用されてのことだった。

 これには阪神・金本知憲監督も猛抗議。それでも覆った判定がもとに戻ることはない。このあと、阪神はギャレットにタイムリーを浴び、追加点を許している。


「コリジョンルール」って?


 忘れている野球ファンのためにも、「コリジョンルール」を今一度あらためておさらいしておこう。細かいルールもあるが、要約すると、以下のようになる。

(1)走者が捕手に強引に体当たりすることを禁止する。
(2)捕手のブロックと走者の走路を妨害することを禁止する。
(3)送球がそれるなど、やむを得ない事情で捕手が走路内に入るときも、激しい接触は控えること。
(4)審判団は、悪質かつ危険な衝突とみなしたとき、当該走者に対して警告や退場を宣告できる。

 こんなところになる。このルールの導入に際し、今年から本塁上のクロスプレーにもビデオ判定が導入されたことも大きな変化のひとつ。昨日の甲子園でもタッチアウトでチェンジが成立し、阪神ナインもベンチに引き上げていた後で判定が覆った。プレーする選手たちが戸惑うのも当然のことだろう。

 昨日のプレーに関しては、捕手の原口が「最初から走路に立っていた」というのが審判側の意見。たしかにバウンドを合わせて捕球した際、一瞬ホームベースをまたぐような格好にはなっていたが、ベースを完全に隠すようにして覆っていたわけではなかった。

 「あれをコリジョンと言われたら...」指揮官は悔しさをにじませる。


捕手だけがとられるわけではない!?


 また、これをとられるのは捕手だけに限ったことではない。

 5月6日の西武-日本ハム戦。3-3の同点で迎えた6回表一死満塁の場面。西武の高橋光成が投じたボールが大暴投となり、三塁走者は楽々生還。さらに二塁走者の浅間大基も三塁を回ってホームへ突入した。

 ボールを拾った捕手の炭谷銀仁朗からベースカバーの高橋へと送球が渡り、一度はタッチアウトの判定となるも、プレー後に審判団が集まって協議を開始。しばらくすると、セーフに判定が覆った。

 問題となったのが高橋の左足の位置。2人目は返すまいと送球を受け取り、頭から飛び込んでくる走者にタッチをしに行った結果、わずかに左足がホームベースにかかっていたのだ。

 しかし、そうなってしまったらよっぽど冷静な投手でない限り、ベースカバーで走者の走路を意識しながらタッチに行くことなど不可能なのではないか。常にホームベースを守っている捕手ならばまだしも、投手にそれを求めるのは酷にも思える。

 このような現状から、本塁クロスプレーに関しては「行ったもん勝ち」の空気すら漂う。完全アウトのタイミングでもセーフになる芽があるからだ。

 「野球が壊れてしまう」…。このような意見が早くも挙がる中、導入1年目の新ルールは今後どうなっていくのだろうか。
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