経験豊富な指揮官に巻き返しを託すも...
2005年、プロ野球界に新規参入した東北楽天ゴールデンイーグルス。
今や世界で戦う岩隈久志や田中将大、そして則本昂大といった日本を代表するエースたちを輩出し、2013年には創設9年目にして初のパ・リーグ制覇。そして日本シリーズでも巨人を破り、日本一に輝く快挙を成し遂げた。
東北初のプロ野球チームとして、球界を大いに盛り上げてきた楽天。しかし、栄冠を掴んで以降は苦しい戦いが続いている。
田中将大がメジャーに移籍してから早2年…。24勝0敗という前人未到の数字を残し、優勝・日本一を置き土産にチームを去ったエースの穴は大きく、2014年と2015年は2年連続でリーグ最下位に低迷した。
経験豊富な梨田昌孝新監督の下、巻き返しを図った今シーズンもここまで48試合で16勝30敗2分。現在のところシーズン89敗ペースで来ており、創設1年目の97敗以来となる90敗超えも現実味を帯びてしまっている。
待たれる投手陣の救世主
特にここ最近は、頼みの綱である絶対的エースの則本が4回10失点の乱調を見せるなど、各所で誤算続き。チームの柱である嶋基宏も故障で離脱中で、FA戦士の今江敏晃も二軍落ちと浮上のキッカケが見えない状況だ。
10年ぶりに9連敗を喫したチームは、翌日の日本ハム戦で3-2と辛勝。泥沼の10連敗こそ免れたものの、その翌日は期待の2年目右腕・安楽智大が6回までに2本塁打を浴びるなど4失点とゲームを作れず、後を受けた投手たちも火のついた相手打線を止められず。終わってみれば3-12の大敗となった。
現在のところ、チーム打率.258はリーグ4位。チーム防御率も4.71でリーグ5位と、決して良い数字とは言えないまでも、共にリーグ最下位ではないのだ。それでは、なかなか勝利の歯車は噛み合わない。この要因はどの部分にあるのであろうか…。
チームの最優先課題として挙がるのは、やはり投手陣だろう。
先発陣では則本が4勝(3敗)、美馬も4勝(1敗)と勝ち頭が2枚いるものの、そこにつづく投手がいないのが弱点。先発勝利数は西武と並んでリーグワーストタイとなっており、軸となる2人を擁しながらも苦しい戦いが続く。
さらに目立つのはリリーフ陣の不調だ。まずはここで29日の日本ハム戦にベンチ入りした投手たちを見ていただこう。
【5月29日・楽天ブルペン陣】
※数字は防御率、29日終了時点の成績
石橋良太 18.90
ミコライオ 2.25
松井裕樹 6.05
金刃憲人 2.63
青山浩二 7.36
福山博之 4.63
西宮悠介 2.45
チームの救援防御率5.90はリーグワースト。2番目に悪いオリックスでも4.93であるから、1点近く突き抜けていることがわかる。救援投手による黒星もリーグで唯一2ケタに乗る14を数えるなど、先発以上に不安が残るポジションとなっているのだ。
現有戦力からの台頭か、トレードか、はたまた緊急補強か…。いずれにしても救世主の出現が待たれる。