オールスターの中間発表がスタート
7月15日(金)と16日(土)に開催される「マツダオールスターゲーム2016」。出場選手を選ぶファン投票が5月24日よりスタートしているが、その中間結果の発表が6月1日に行われた。
今シーズンの序盤戦を彩った選手たちが票数を順調に伸ばす中、ファンたちの間では喜びや悲しみだけに留まらない様々な反応が見られる。
驚:異例の「2部門候補入り」
投げてはここまで3勝4敗、防御率2.81という成績。開幕当初はなかなか勝ちがつかずに苦しんだが、ここに来て2連勝を収め、その間13イニングを投げて自責1と本来の調子を取り戻しつつある。
さらにすごいのが打の方。打っては打率.365で9本塁打、21打点の大暴れ。打席数が大幅に少ない中、主砲の中田翔と並んでチーム2位の本塁打数を誇っている。
そんな進化が止まらない4年目の“二刀流”は、まず投手部門で2万5899票を集めて堂々の1位。2位の武田翔太には5000票以上の差をつけている。それに加えて、なんとノミネート外の指名打者部門でも9373票を集めて5位にランクイン。投打で候補に入ってしまったのだ。
指名打者部門では長谷川勇也(ソフトバンク)が3万2087票を集めてトップを走っており、逆転はかなり難しいところではあるが、もし2部門でのファン投票選出なんてことになれば、史上初の快挙である。
オールスター戦では、セ・リーグがホーム扱いとなる試合でも指名打者制度が設けられるルールとなっているが、お祭りだからこそ見られる「4番・投手」などという夢への期待を膨らませているファンも少なくない。
投手としてだけでなく、野手としてもどこまで票数を伸ばすことができるか…。大谷の得票数は今後も要注目だ。
喜:意外な大健闘!
また、今回目立ったのが、「ノミネート外」選手の健闘。大谷の指名打者もその一例になるが、セ・リーグでは“超変革”の中で頭角を現してきた若虎たちの健闘が光る。
先発部門では、覚醒の気配を見せる岩貞祐太が5位に入り、捕手部門では育成から這い上がった原口文仁は2位にランクイン。ともに「ノミネート外」から票を集めて上位に食い込んできているのだ。
阪神は中継ぎ部門の福原忍をはじめ、抑え部門のマテオ、捕手部門の梅野隆太郎、二塁手部門の西岡剛、三塁手部門のヘイグなどなど、ノミネートリストが発表となった時にはすでに離脱していた、もしくはポジションを押さえられていない選手が多くノミネート入り。ファンからは「阪神から選出させる気ないでしょ…」といった声まで挙がっていたほどだ。
岩貞の先発部門は巨人・菅野智之に大きく水を開けられているものの、捕手部門のトップはヤクルトの中村悠平で2万3485票。2位につける原口は2万0739票を集めており、その差は2,746票。十分に逆転が狙える位置にいる。
唯一選出圏内入りを果たした外野手部門2位の高山俊を含め、何人がお祭りの舞台に上がることができるのか。「ノミネート外」選手の奮闘が、1つのイスを巡る争いを盛り上げる。
悲:どうか休ませてあげて...
最後に取り上げるのは、西武ファンの“心配”。パ・リーグ中継ぎ部門でトップ得票を獲得した“アンダーハンド”牧田和久のことである。
本人もビックリという速報1位の一報。本来ならば喜ばしいことではあるのだが、西武ファンからは「どうか休ませてあげて...」という悲痛な叫びが挙がっているのだ。
開幕から中継ぎとしてフル回転でチームを支えている牧田は、ここまで21試合の登板で5勝負けなし、防御率1.71の成績。すべて中継ぎでの登板ながら、菊池雄星と並ぶチームトップタイの勝ち星を記録する。
ストッパーである増田達至への橋渡し役としてロングリリーフもこなし、投球回数は42。一時は中継ぎながら規定投球回にも乗ってしまうなど、まさに大車輪の活躍でチームのブルペン陣を支えてきた。
それだけに、西武ファンからは「オールスター戦くらいは休ませてあげてよ...」という声が多く挙がったのだった。現在4万2970票を集めており、2位の森唯斗(ソフトバンク)とは1万票以上の差。ファン投票1位は栄誉だけど……。西武ファンは複雑な心境で票数の推移を見守ることになりそうだ。
一方、そんな西武ファンが“悲願”として掲げているのが、主将・栗山巧のオールスター選出。長らくチームの主力として活躍を見せ、ベストナインにも3度輝いた経験を持つリーグでも屈指の外野手ながら、実は14年間のキャリアでオールスター出場が1度もないのだ。
今シーズンはリーグ3位の打率.315を記録するなど、序盤戦から好調を維持。初のオールスター出場へ期待が高まったが、中間発表では2万1437票で外野手部門の5位と選出圏内には届かなかった。
当落ラインとなる3位の中村晃(ソフトバンク)が3万9020票を集めており、その差は大きい。今年もオールスターとは縁なく終わってしまうのか…。西武ファン及び栗山ファンのここからの巻き返しにも注目したい。
※数字はすべて6月1日時点のもの。