ヤクルト先発陣の救世主?
8日の楽天戦に勝利し、連敗を6でストップしたヤクルト。6月初勝利を挙げ、5月31日以来となる交流戦2勝目を掴んだ。
昨年のセ・リーグ王者も、現在はリーグ最下位。特に投手陣の崩壊ぶりは目に余るものが有り、チーム防御率5.06は12球団で見てもワースト。唯一の5点台を叩き出し、ファンの間では「5点取られても防御率は下がる」といった自虐ネタまで飛び出している。
左腕エース・石川雅規の離脱に加え、成瀬善久も中継ぎへ回った今、悩みは深刻な先発の駒不足。ローテーションの再編で誰が先発を務めるのかに注目が集まったが、9日の先発に発表されたのは5年目・29歳の古野正人だった。
昨年は“臨時エース”として活躍
報徳学園から龍谷大を経て、社会人・日産自動車へ入部した古野。チームの廃部を機に三菱重工神戸(現三菱重工神戸・高砂)へと移り、2011年のドラフト6位でヤクルトへと入団した。
即戦力として期待を受けるも、1年目は肩の故障などの影響により一軍登板はなし。それでも2年目の2013年に中継ぎとしてデビューを果たすと、10試合中先発も5試合こなし、1勝2敗という成績を残した。
プロ入り後の4年間は一軍定着とは行かないまでも、チームが苦しい時に上がってきては先発に中継ぎと仕事をこなし、評価を高めてきた右腕。昨年も開幕から中継ぎ登板を続けながら、5月19日のDeNA戦から先発に回って6回1失点と好投。そのままローテの一角に入り込むと、交流戦では4度の先発で2勝負けなしと奮闘を見せた。
結局、5月19日のDeNA戦から6月25日の中日戦にかけて4連勝を記録するなど、安定した投球を披露。ファンは“臨時エース”と呼んで古野を称えた。
活躍する条件は揃った...?
迎えた今シーズンも、中継ぎからのスタート。ところがいきなり初登板の3月26日・巨人戦で2回を4失点と打たれると、4月5日の広島戦では1回もたずに5失点と炎上。二軍降格を余儀なくされた。
今回の先発は、そのKO降格以来となる一軍のマウンド。「18.00」という防御率から厳しい戦いを覚悟するヤクルトファンも多いが、昨年のこの時期の古野を知っているファンは希望を抱いている。
昨日で連敗をストップしたヤクルトであるが、実は昨年古野が初先発で勝利を挙げたのも、チームが9連敗を止めたその翌日のことだった。
「昨年負けなしの交流戦」で、「連敗ストップの後」…。古野に期待する材料は揃っている。
唯一の気がかりは...
ただし、気がかりな点があるとすれば天気か。
気圧の谷や上空の寒気の影響により、9日は全国的に天気が下り坂。各地とも突然の雨に注意が必要との予報が出ており、激しく降る雨や雷への注意も指摘されている。Koboスタ宮城は屋根がないため、その点は心配だ。
古野といえば、2年目の2013年にプロ初先発をする予定だった試合が雨で流れ、一軍昇格も見送りになったという過去もある。今年も初先発が流れるという“雨男”ぶりを発揮してしまうのか。天候やコンディションにも注意が必要だ。
古野が先発する交流戦・楽天-ヤクルト(3回戦)は、Koboスタ宮城にて18時にプレイボール予定。
▼ セ・パ交流戦
楽天(美馬学)- ヤクルト(古野正人)
<Koboスタ宮城 18時00分>