“まだ”5ゲームもある
日本ハムの勢いが止まらない――。
6月19日に始まった連勝は未だ止まらず、11日のオリックス戦の勝利で球団新記録となる15連勝を達成。2位を争うロッテをも3連勝で下し、いよいよ余裕の独走状態だった鷹の尻尾を掴んで引きずり下ろす……はずだった。
ところが、15連勝をしても見えたのは鷹の“背中”程度。ソフトバンクとの差は依然として5ゲーム開いており、“尻尾を掴む”までには至っていない。
なぜそんな事態が起こっているのか…。以下は日本ハムの15連勝と、その期間のソフトバンクの戦績である。
▼ 6月19日~7月11日の戦績(※-は試合なし、[]は直接対決)
・日本ハム(15勝0敗)
○○----○○○○○-[○○○]-○--○○○○
・ソフトバンク(9勝7敗)
○----○●○●-○○[●●●]-●○○●○○-
ご覧のように、ソフトバンクは調子を落とした中でも、日本ハムとの直接対決で3タテを食らった以外はすべて勝ち越し。「11.5」あったゲーム差は「5」まで縮められたが、日本ハムの歴史的な連勝によって改めてその強さが際立つという状況になっている。
最強の先発陣
一体、なぜこれほどまでに強いのか…。ソフトバンクの強さ要因の1つに、圧倒的な「選手層」が挙げられる。
特に投手陣は12球団随一の厚さといえるだろう。
開幕直後は摂津正、バンデンハーク、武田翔太、千賀滉大、和田毅という5人でローテーションを回していたが、5年連続2ケタ勝利中のエース・摂津正が0勝2敗、防御率9.42と精彩を欠いて二軍落ち。さらに来日から負けなしの14連勝という快記録を達成したバンデンハークも、疲労により離脱を強いられてしまう。
しかし、軸として期待された2人が離脱しても、代わりの選手がそれを補って余りある活躍をしてしまう。代表的なのが、2012年ドラフト1位の東浜巨だ。
不調で離脱した摂津に代わり、先発ローテーションに定着すると、ここまで自己最多の6勝をマーク。涌井秀章(ロッテ)や則本昂大(楽天)、黒田博樹(広島)といった各球団のエース級の投手に投げ勝つなど、今では欠かせない存在となっている。
さらに、昨シーズン二軍で防御率(1.66)、勝利(10勝)、勝率(.833)と投手三冠に輝いた岩崎翔も、先発ローテーション割って入りそうな勢いを見せる。
5月8日に一軍登録されると、リリーフで結果を残し、6月30日のロッテ戦で今季初先発。7回途中1失点の好投で勝利を掴むと、7月7日のオリックス戦では実に5年ぶりの完封勝利を挙げた。
その他にも、先日397日ぶりの一軍勝利を挙げた大隣憲司や、今季ここまで3勝を挙げている中田賢一、二軍でトップの防御率を誇る山田大樹など、他球団では一軍の先発ローテーションに入ってもおかしくない投手たちが揃っており、まさに盤石の体制。誰が抜けても大丈夫なほどの陣容が整っている。
李大浩の穴を感じさせない選手層
投手だけでなく、野手陣の奮闘ぶりも光る。
昨シーズン31本塁打で98打点を記録した李大浩が抜けた中、柳田悠岐に昨年ほどの爆発力が見られず、松田宣浩もここまでリーグワースト5位の打率.259と低迷。そんな中でも、内川聖一の復調や長谷川勇也の復活に加え、今宮健太の打撃開眼など、現有戦力でその穴を埋めている。
また、これまで“脇役”に徹してきた城所の大ブレイクはチームに勢いをもたらした。
6月12日の巨人戦では、自身初となる1試合2本塁打を放つなど、交流戦で12球団トップの打率.415をマーク。交流戦MVPを獲得する大暴れで、チームの2年連続最高勝率に大きく貢献した。
また、その城所が調子を落とすと、取って代わるように吉村裕基がアピール。代打での出場が主だった男だが、先発での出場機会を増やしている。
投打ともに、「誰かが抜けても誰かが出てくる」。これがソフトバンクの強さを支える最大の要因であろう。
猛追する日本ハムは、この“最強”ソフトバンクにどこまで食い下がっていけるのか。後半戦も両チームの熾烈な争いから目が離せない。