ニュース 2016.07.13. 10:00

まだ終わるわけにはいかない…ティム・リンスカムの再出発

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復活へ歩みだしたティム・リンスカム

00年代屈指の好投手は今...


 ティム・リンスカムという投手を覚えているだろうか――。

 ワシントン大学から、2007年のドラフト1巡目(全体10番目)でサンフランシスコ・ジャイアンツに入団。7勝を挙げると、2年目には18勝をマーク。以降は2014年まで7年連続で2ケタ勝利を記録し、2008年と2009年は2年連続でサイヤング賞も獲得するなど、一気にメジャーを代表する投手へと登りつめた。

 サイヤング賞2回に、ノーヒッターも2回達成。2010年、12年、14年とチーム3度のワールドチャンピオンにも貢献し、オールスターも4度出場...。若くして輝かしい実績を残した男だけに、きっと後世に語り継がれるような伝説の投手になるに違いない。誰もがそう思っていた。


一気に上がって一気に落ちたキャリア


 しかし、身長180センチで体重も70キロ台という小柄な体が悲鳴を上げる。

 最速159キロを計測した速球に陰りが見え始めると、これまでおもしろいようになぎ倒してきた強打者たちを相手に力勝負で勝てなくなってくる。

 2011年に13勝14敗と負け越すと、2012年には10勝15敗でキャリアワーストの防御率5.18と乱調。2013年、14年も2年続けて防御率4点台に終わるなど、かつての圧倒的な力は見られなくなっていった。

 そんな中で迎えた2015年、6月に打球を右腕に受ける不運で降板となると、そこでマイナーに降格。復帰のメドが立たないまま、今度は股関節の異常が発覚し、手術を受けるため9月の時点でシーズンの終わりを迎える。


挫折を乗り越えて復活勝利


 連続2ケタ勝利も7年連続で途切れ、数々の栄光を残したジャイアンツをFAとなった男は、復活へ向けてリハビリを続けていた。

 ところが、待てど暮らせどオファーが来ない。かつてのサイヤング賞投手に突きつけられた非情な現実。それでも現役にこだわった右腕は、巡ってきたチャンスを掴む。

 5月、アリゾナ州にあるジャイアンツの施設にて、メジャーのスカウト陣が見守る中で投球を披露。この後、再契約に乗り出したのがエンゼルスであった。

 当初はジャイアンツが再契約するという見方が濃厚だったが、先発陣に苦しむエンゼルスからのオファーの方が、男にとっては魅力的だったのだ。
 
 そして、迎えた現地6月18日、リンスカムは357日ぶりとなるメジャーでの復帰登板を果たす。

 舞台はオークランドでのアスレチックス戦。サンフランシスコに近いということもあり、当日はかつてのエースの“復活”を見守るべく、多くの観客がサンフランシスコからも訪れたという。

 「敵地なのに、まるでホームで投げているような感覚だった。ありがたかった」と語ったリンスカムは、観客の大声援を受けて熱投。6回を1失点に抑える好投で、見事に白星を掴んだ。

 

まだ、終わるわけにはいかない…


 しかし、男の戦いはこれからが本番だ。

 復帰戦こそ勝利を挙げたリンスカムであるが、その後はピリッとしない投球がつづく。復活の勝利の後は4試合に先発して0勝3敗。序盤から打ち込まれるシーンも目立った。

 この4試合は6回も投げ切ることができず、防御率は6.85。それでも本人は「これは完全復活のための準備期間」とし、「自分がやるべきことはわかっているし、残りのシーズンで前に進んでいくだけ」と、クールに言い放ったという。

 1年前に負傷で苦しんでいた時、復活を目指して一から出直した。約5カ月にも及ぶリハビリ期間の中で、ロングトスや短い距離のキャッチボールなどを徹底。最速159キロには遠く及ばないものの、147キロから8キロというところまで球速を取り戻した。あとは結果だけ。本人もそれをよく分かっている。

 まだ、終わるわけにはいかない――。32歳になったリンスカムは今、新天地で復活へ向けて歩み始めている。

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