コラム 2016.07.11. 21:00

カブスの失速で改めて痛感する“2001年のマリナーズ”の強さ

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歴史に残る強さを誇った2001年のマリナーズ

カブスの快進撃と、あの時のマリナーズ


 今季のメジャー前半戦を盛り上げたシカゴ・カブスが、7月に入って2勝8敗と息切れを起こしている。

 さかのぼること2か月前、5月10日の時点では26勝8敗(.765)という驚異の勝率を誇り、メジャーのシーズン最多勝利記録の更新にも期待がかかるほどであった。

 メジャーリーグのシーズン最多勝利記録というと、1906年のカブスと2001年のシアトル・マリナーズによる116勝。後者はイチロー渡米1年目のシーズンの出来事である。

 この年、マリナーズは開幕から快進撃を続け、シーズンを通して10敗以上を喫した月というのが一度もなかった。以下がその年のマリナーズと今年のカブスの月ごとの勝敗だ。


▼ マリナーズ(2001年)
4月 20勝5敗
5月 20勝7敗
6月 18勝9敗
7月 18勝9敗
8月 20勝9敗
9/10月 20勝7敗

▼ カブス(2016年)
4月 17勝5敗
5月 18勝10敗
6月 16勝12敗
7月 2勝8敗(※現地7月10日現在)
8月 ???
9/10月 ???

 ご覧のように、驚くべきペースで白星を積み重ねていた今年のカブスですら、6月までのどの月も2001年のマリナーズには及ばないのだ。


いつかこの記録が破られる日は来るか...


 2001年のマリナーズは得点、失点ともにメジャー1位を記録。投打で他を圧倒していた。その中心にいた男こそ、当時27歳のイチローであった。

 当初は打率3割すら疑問視されたイチローだったが、終わってみればリーグMVPと新人王をダブル受賞。ブレット・ブーン、ジョン・オルルド、エドガー・マルチネスらが中軸を担う打線は破壊力抜群だった。

 さらに投手陣ではジェイミー・モイヤー、フレディ・ガルシアら4人が15勝以上をマーク。大魔神こと佐々木主浩がリーグ2位の45セーブを挙げ、ブルペンからチームを支えた。


 今年のカブスは、ジェーク・アリエッタやジョン・レスターら強力先発陣を中心に、内野手4人全員がオールスターに選出されるなど、投打にタレントが揃っており、開幕前から優勝候補の呼び声が高かった。

 しかしながら、気付いてみれば勝率でサンフランシスコ・ジャイアンツに追い抜かれ、現在はシーズン97勝ペースに落ち着いている。今年のカブスの布陣をもってしても、シーズン100勝に届かない計算なのだ。2001年のマリナーズがいかに“負けないチーム”だったかがわかるだろう。

 ただし、そんなマリナーズも、その年のポストシーズンではア・リーグ優勝決定シリーズでレギュラーシーズン95勝のニューヨーク・ヤンキースを相手に敗退。ワールドシリーズ出場を逃している。

 15年前のマリナーズを知る者は、その年のマリナーズがメジャー史でも特別なチームだったことに気づいていただろうか……。我々は“歴史”の目撃者となっていたのだ。

 近い将来、この大記録が破られる日を我々は目撃することはできるのだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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