チームトップの7勝
巨人のエース・菅野智之は、リーグトップの防御率1.64を記録しながら、味方打線の援護に恵まれず、ここまでの勝ち星は6勝。首位を走る広島の野村祐輔が、すでに12勝をマークしていることを考えると寂しい数字だ。
巨人で最も白星を挙げている投手はというと、菅野とともに開幕からローテーションの一角を担ってきた高木勇人でも田口麗斗でもなく、中継ぎ投手のマシソンになる。
3年連続で60試合以上に登板しているマシソンだが、実は来日5年目となる今季、先発転向を希望し、キャンプでは先発の調整を進めていた。本人の意向だけでなく、チーム状況を考慮した上での提案だったのだが、最終的にはリリーフ再転向で落ち着いた。
シーズンが開幕してからのマシソンは、勝ちゲームの一角を担い、前半戦だけで6勝を記録。オールスター明けも、7月18日の阪神戦、リリーフで1イニングを無失点に抑えて7勝目を手にした。
先発投手に勝ち星が付くのが理想的だが、中継ぎ投手の勝利は、試合終盤でもあきらめずに接戦をものにし、さらには逆転勝利を手にしている証拠。これからのペナントレースの行方に大きく関わってくる数字ともいえる。
過去には抑え投手が最多勝も…
このまま、勝利を積み重ねていけば、二ケタ勝利の可能性も出てくるが、過去には88年にヤクルトの抑えを務めていた伊東昭光が最多勝に輝いている。
伊東は、前年の87年に31試合全てに先発し、チームトップの14勝を挙げた。しかし、88年は抑えの高野光が故障したこともあり、抑えに抜擢される。抑えではあったが、勝ち星を積み重ね、最終的には中日の小野和幸とともに18勝を記録し、最多勝のタイトルを獲得した。
ちなみに伊東が最多勝に輝いたこの年、リリーフとして55試合に登板し、登板数を大きく上回る122回1/3を投げた。だが、「先発・中継ぎ・抑え」と分業化された現在では、中継ぎ投手の投球回数は当時に比べて減っている。伊東のようにリリーフだけで18勝挙げることは、ほぼ達成が不可能な数字だ。最近5年間を見ても、リリーフだけで二ケタ勝利を記録した投手はいない。
しかし今季は、マシソン以外にも西武の牧田和久がチームトップの7勝をマークしている。シーズン序盤はロングリリーフもこなし、今季初勝利を挙げた3月26日のオリックス戦では、6イニングを投げた。その後、勝ちパターンの一角に組み込まれたが、6月中旬に故障で離脱。後半戦から復帰し、23日のソフトバンク戦でチームチップの7勝目を手にした。
チームとして、リリーフに勝ちがつくような試合展開はもろ手を挙げて喜べるようなものではないのかもしれないが、試合展開とともに中継ぎ投手の勝利数に注目してみるのも面白いかもしれない。