ドラ1の父とは対照的なスタート
7月14日に育成契約から支配下選手への昇格を果たした中日の近藤弘基が、プロデビュー戦となった8月2日の巨人戦で、プロ初安打を含む猛打賞の活躍を見せた。
この日に一軍登録され、即2番・左翼でのスタメン出場という緊張の中、見事に結果を残して見せた。1回のプロ初打席はセンターフライに倒れたが、3回の2打席目で、センター前へプロ初ヒットを記録。さらに、5点ビハインドの二死一、三塁で迎えた5回の3打席目には、それまで無得点に抑えられていた巨人先発の今村信貴から2点タイムリー二塁打を放ち、プロ初打点を記録した。その後、7回にもヒットを記録し、デビュー戦で猛打賞の活躍。試合には敗れたが、近藤にとっては最高のデビュー戦となった。
父である近藤真市コーチは、享栄高エースとして甲子園に春夏連続出場し活躍。ドラフト会議では、5球団が1位指名で競合するなど、鳴り物入りで中日に入団した。さらに、プロ初登板となった巨人戦で、ノーヒットノーランを記録する強烈なデビューを果たしている。その後は、左肩の故障などで、現役生活は6年と短命に終わったが、引退後も中日に残り、スカウトやコーチとしてチームを支えている。
一方、息子の弘基は、享栄高から名城大に進みキャプテンを務めたが、全国的に知名度のある選手というわけでもなく、落合博満GMに将来性を買われて、2014年のドラフトで中日の最終指名となる育成4位で入団を果たした。華々しい父とは対照的に、静かなプロ生活の幕開けとなった。
ナニータの離脱で回ってきた一軍チャンス
プロ1年目の昨季は、二軍戦で22試合に出場して、打率.125と結果を残すことができず、悔しい1年に終わった。そして2年目の今季は、開幕から二軍で打撃をアピールし、7月14日に支配下登録をつかみとる。
中日のレフトは、オールスター前まで、ほぼナニータが1人で守ってきた。そのナニータは打率.294を記録し、ビシエドの後を打つ5番を任されていたが、左肘を痛めたこともあり、現在は二軍調整中。ナニータが離脱したことで、近藤にチャンスが回ってきたというわけだ。
このチャンスに、猛打賞デビューを飾ったのは、首脳陣にかなりのアピールになったのではないだろうか。また、球宴後も勝ち星を伸ばせず最下位に沈む中日にとって、起爆剤としての期待も高まる。
今季は、阪神の原口文仁、故障から復活したヤクルトの由規など育成契約から這い上がった選手の活躍が目立つ。近藤もこの波に乗っていきたいところだ。