奮闘光る中継ぎ投手たち
5日の中日-楽天戦。2点リードの最終回を締めた中日・田島慎二が、自身が持つ開幕からの連続無失点記録を「31」に更新。“開幕”からの条件を外した連続無失点の記録としても、高橋聡文(現阪神)が記録した球団記録に並んだ。
今やストッパーとなった田島であるが、当初は中継ぎ投手の一人だった。田島をはじめ、リリーフ投手たちの奮闘が光る今シーズンの序盤戦。
日本ハムの左腕・宮西尚生は5月14日の西武戦で1回を無失点に封じ、7つめのホールドを記録。これでプロ野球史上2人目の通算200ホールドを達成。ほかにも西武のアンダースロー・牧田和久がロングリリーフにフル回転し、中継ぎにも関わらずチームの勝ち頭になるなど、各チームで中継ぎ投手たちの活躍ぶりが話題となっている。
「ホールド」ってなに?
投手の分業が進む現代野球において、中継ぎ投手の重要度は増し続けている。
これまではそれほど目立つことも少なかったポジションであるが、「ホールド」という記録が浸透し、「最優秀中継ぎ投手」のタイトルも確立した今、その地位は一気に向上した。
そもそも、「ホールド」とはどんな記録だろうか。野球をよく見るという人でも、詳しく答えられる人は少ないのではないだろうか。「ホールド」を記録するには、まず以下の4つを満たすことが条件になる。
(1)先発投手、勝利投手、敗戦投手のいずれかでもなく、セーブが記録されていないこと
(2)自チームの最終守備イニングの3アウト目を取った投手ではないこと
(3)アウトを1つ以上取ること
(4)降板した後、自身に記録された失点によって自チームが同点に追いつかれたり、あるいは逆転されたりしていないこと
この4つは、いわば前段階。「ホールド」を取りに行くための最初のステップとなる。そしてこの状態で、以下のいずれかを満たすと、はじめて「ホールド」が記録される。
【1】自チームがリードしている場合、以下のいずれかの条件を満たしリードを保ったまま降板する
1)3点以内のリードで登板し、1イニング以上投げる
2)迎える2打者に連続本塁打を打たれたら同点、または逆転される場面で登板する
3)点差にかかわらず、リードした状況で登板して3イニング以上投げる
【2】同点の場面で登板し、以下のいずれかの条件を満たして降板する
1)同点のまま失点を許さず降板する
2)登板中に自チームが勝ち越した場合、リードを保って降板する
と、ここまでをクリアすると、ようやく「1ホールド」を得ることができるのだ。
歴代上位は現役選手が独占!
文章にすると複雑そうに見えるが、ざっくり言うと「勝敗やセーブがつかない中継ぎ投手」が、「1イニングをしっかり抑える」ことができれば「ホールド」は記録される。
1986年にアメリカで考案されたとされる歴史の浅い記録である「ホールド」。リリーフの分業化によって評価される指標が「セーブ」しかなく、抑え投手だけが称えられてしまう仕組みに違和感を覚えたのがキッカケだった。
歴史の浅い記録であるため、日本の歴代記録を見てみても上位は現役選手が独占している。以下をご覧頂きたい。
【歴代通算ホールド数・トップ5】※数字は6月4日時点
1位 263ホールド 山口鉄也(巨人)*
2位 205ホールド 宮西尚生(日本ハム)*
3位 199ホールド 浅尾拓也(中日)*
4位 142ホールド 五十嵐亮太(ソフトバンク)*
5位 141ホールド ウィリアムス(阪神)
(*=現役選手)
なんと、歴代ホールド数の上位5人のうち4人は現役選手なのだ。トップは巨人を支える左腕・山口鉄也。2008年から昨年まで8年連続で60試合以上に登板。うち70試合以上に登板したのも3回という鉄腕が頭ひとつ抜けている。今後もなかなか抜かれることのない記録となるだろう。
急速に向上している中継ぎの地位。今後も彼らの“影の奮闘”に注目だ。