ニュース 2014.09.03. 18:58

広島・ロサリオ、不運では終わらせないハングリー精神

 今季から広島に加入したロサリオは、チームメートからは“おさむ”の愛称で親しまれ、雨天中止のときにはグラウンドで中東直己と一緒に、AKB48の恋するフォーチュンクッキーを踊るなど、チームメート、ファンから愛されるキャラクターだ。

 見た目は陽気だが、実はハングリーな選手でもある。昨季、ドミニカのカープアカデミーの練習生として秋季キャンプに参加。他にも同アカデミーからの参加者はいたが、彼だけは練習生で終わらせなかった。

 紅白戦で出場のチャンスを掴むと、挨拶かわりに2本のアーチを描き猛アピール。2013年の広島は得点力不足に泣かされたが、彗星のごとく現れた練習生のパワーに首脳陣は誰もが驚いた。これは只者ではないと…。

 秋季キャンプでの活躍が認められ、春季キャンプを前日に控えた1月31日に支配下契約を勝ち取った。それも契約期間は4年。球団からの期待の大きさが表れていた。しかし、ロサリオの支障となったのが外国人枠の問題。主砲のエルドレッド、後半戦から途中加入し、クライマックスシリーズ進出の立役者となったキラ。さらには広島外国人最多勝利記録を持つバリントン、守護神のミコライオと、実績のある選手たちが一軍の4枠を埋めており、試合出場はおろか一軍登録すら厳しい状況だった。

 今シーズンの序盤も、前述の4選手が揃って好調。その中で、ロサリオも限られたチャンスを活かしたが、4安打を放った翌日に、故障から復帰したキラと入れ代わり降格。さらに再昇格後も、本塁打を放った翌日に、妻の出産のためアメリカに一時帰国していたミコライオに代わり再降格と、今季ここまで3度の登録抹消を経験している。だが、様々な苦難がありながらも、ロサリオは昇格するたびに進化して、一軍の舞台に戻ってきた。

 そして現在、開幕から主軸として活躍していたキラ、エルドレッドの2人が揃って二軍調整中のなか、2日の巨人戦では、サイクル安打を達成。今や2人に負けない存在感で、優勝を争うチーム中で気を吐いている。

 ただこれからも、エルドレッドとキラの調子次第では、再び降格する可能性もある。それでも競争があることで、ロサリオの才能が伸びていることを考えると、この経験が今後さらに活きてきそうな予感がする。
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