世代交代が上手くいかず…
中日が13日の阪神戦に敗れ、球団ワーストの10カード連続負け越しが決定した。8月9日には、成績不振を理由に谷繁元信監督が休養を発表。チームは最下位と低迷しており、憎たらしいほど強かった00年代の強さはすっかりと影を潜めている。
ここ数年、低迷が続いている原因は様々あるが、やはり野手の世代交代が上手く進まなかったことだろう。谷繁元信、荒木雅博、井端弘和、森野将彦、和田一浩らが長年レギュラーで活躍。ベテラン頼みになった結果、若手を育成する機会がほとんどなかった。
過去にも、07年オフに福留が抜けたときは、西武から和田をFAで獲得。谷繁、井端、荒木といった主力がチームにいたこともあり、大幅な戦力ダウンにはならなかった。逆に投手陣は08年オフに川上憲伸が抜けた後、吉見一起、チェン、浅尾拓也が台頭。10年と11年には吉見、チェン、浅尾の3人が投手陣の軸となり、球団史上初の連覇を成し遂げた。
12年以降は、吉見や浅尾が故障で苦しむも、投手陣は大野雄大、田島慎二、岡田俊哉、若松駿太など毎年のように有望な若手が出てきた。一方野手はというと、大島洋平、平田良介の2人がレギュラーに定着したが、その他の若手はベテランを脅かす存在になれなかったというのが現状だ。
堂上が台頭
ただ、ポジティブな面もある。06年高校生ドラフト1位で入団した堂上直倫が、プロ10年にして、ようやく遊撃のレギュラーを掴みつつあること。10年に二塁のレギュラーを掴みかけたこともあったが、打撃で結果を残せず、守備固めでの出場が多かった。
今季は開幕直後こそ守備要員だったが、打撃でアピール。3・4月は月間打率.290を記録し、7月も月間打率.284をマークした。8月に入ってから調子を落としているが、ここまで101試合に出場し、打率.247、3本塁打、35打点の成績を残している。
プロ5年目の高橋周平も、レギュラーに手の届きそうなところにきている。3月25日阪神との開幕戦に、「7番・三塁」でスタメン出場すると、3安打1打点の活躍。3月31日の広島戦では満塁本塁打を放つなど、新外国人のビシエドとともに、春先は中日打線を支えた。
右手有鉤骨の骨折により約3カ月離脱したが、7月28日に復帰。復帰戦で、いきなり2安打4打点の活躍を見せた。その後は春先に見せた打撃を披露できずにいるが、13日の阪神戦ではレフトへ二塁打を放っている。
さらに、育成から7月に支配下登録となった近藤弘基が、デビュー戦でいきなり猛打賞の活躍を見せれば、ファームでは2年目の友永翔太が打率3割近い成績を残す。苦しいチーム状況が続いているが、現状を打破するためにも、1人でも多く若手・中堅の野手が一軍で活躍することを期待したい。