リリーフ陣はリーグトップの防御率も…
開幕前の評価はあまり高くなかったが、一時は首位に立つなど健闘を見せた中日。しかし、交流戦で7勝11敗と負けが込み、6月はここまで7勝13敗。気がつけば最下位・ヤクルトと1ゲーム差の4位まで落ちてきてしまった。
ここまでのチームを見てみると、打率はリーグ3位タイも、巨人やDeNAと並ぶ.247。チーム防御率はリーグ3位の3.51となっており、例年通り投高打低のチーム構成となっている。
ただし、「投手力のチーム」とは言っても、リリーフ陣の防御率がリーグで唯一の2点台となる2.97を叩き出している一方で、先発陣の防御率は3.79でリーグ5位。先発投手が6イニング以上を投げ、自責点3以内に抑えた「クオリティースタート(=QS)」の確率もリーグ5位の54.1%となっており、リリーフ陣頼みというのが現状だ。
先発陣を見渡すと、ケガから復帰してきたエースの吉見一起は、5月中旬までは十分に間隔をあけての登板。大野雄大もケガで1カ月ほど戦線を離れた。現在のところ、規定投球回に達しているのは若松駿太だけといった状況。そんな中でチームを救っているのが、ラウル・バルデスとジョーダン・ノルベルトの外国人左腕コンビである。
来日2年目のバルデスは、開幕こそケガの影響で間に合わなかったものの、5月8日の巨人戦でシーズン初登板・初勝利。ここまで7試合に登板して2勝2敗、防御率3.42という成績を残す。1イニングあたりに許した走者の数を表すWHIPは1.16で、規定投球回に達していればリーグ6位に相当する数字だ。
テークバックの小さいフォームから、135キロ前後の速球にスライダー、チェンジアップをテンポよく投げ込み、打者を打ち取るのがバルデスのスタイル。ここまでQS率は71.4%を数え、派手さこそないものの試合を確実に作る。
また、中4日での登板もすでに2度あり、そういった点でも先発投手の頭数が足りないチームを救っている。
両投手共通の課題は「ビジター」
今季から加入したジョーダンは、ここまで12試合に登板して4勝2敗、防御率2.86。
WHIPは1.27を記録しており、規定投球回には4イニングほど足りていないながらも、QS率は72.7%とバルデス同様に先発の役割を果たしている。外国人枠の関係でここまで登録抹消が3度もあるなど、調整が難しいなかで上々の成績を残していると言えるだろう。
目立ってはいないものの、チームに貢献しているバルデスとジョーダン。だが、共通の課題がある。ともに「ビジターの試合にめっぽう弱い」ということだ。
バルデスはホームの試合で勝利こそ挙げていないものの、防御率は2.70と安定。特にナゴヤドームでは3試合に登板して防御率2.45を誇るが、ビジターの試合となると防御率が4.67まで落ちる。
ジョーダンも同様、ナゴヤドームでは防御率2.19だが、ビジターでの防御率は5.06と3点近く落ちる。25日に神宮で行われたヤクルト戦では、来日後最短となる3回KOで7失点を喫するなど、敵地では未だ1勝も挙げられていない。
“内弁慶”なふたりがビジターでもきっちり仕事ができれば、チームの状態も上がってくることだろう。
首位・広島には10ゲームの差をつけられているが、クライマックスシリーズ進出圏内の3位までは1ゲーム差という大混戦。まだまだ挽回は可能だ。
球団史上ワーストとなる4年連続Bクラスを回避するためにも、両助っ人左腕にかかる期待は大きい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)