中学生が小学生を指導
西武は25日、「ライオンズカップ 第5回中学硬式野球選手権大会」終了後に「硬式野球体験会」を開催した。
近年、野球界はある問題を抱えている。それは「野球人口減少」だ。特に中学生年代の野球人口の減少は著しく、中学生の野球部員の数はここ10年で約9万人も減少した。
そこで立ち上がったのが西武ライオンズ。「中学生の野球人口減少」という状況を改善する目的で、球団として初の試みとなる同イベントを開催。同日に行われた「ライオンズカップ 第5回中学硬式野球選手権大会」で優勝した上尾リトルシニアと準優勝の深谷中央ボーイズに所属する中学生約40人が、小学6年生28人を指導した。
まず、守備とバッティングの2グループに分かれ、キャッチボールやトスバッティングなど、基礎から丁寧に指導。実際にお手本を見せるなど、わかりやすい中学生の説明を、小学生はキラキラとした真剣な眼差しで聞き入っていた。
「ナイスボール」や「ナイスバッティング」と、中学生から積極的に声をかけ、和気あいあいとした雰囲気の中で体験会は進行。最後はティーバッティングを行い、同イベントは1時間程度で終了した。
上尾リトルシニア主将の風間樹(たつる)くん(15)は、「小学生はみんな上手くて、教えるというより、一緒に楽しんじゃいました。技術を教えるだけじゃなく、ボーイズリーグや、リトルシニアの話もしました」と笑顔で振り返った。
小学6年生の本間謙太郎くん(11)も「今まで硬式球はキャッチボールなどでは触ったことがあるけど、こうやってちゃんとやるのは初めて。中学生のお兄さんからは、『(ボールが)はねないから腰を低く』など、アドバイスをもらった。すごく楽しかった」と話した。
さらに、深谷中央ボーイズの荒井夢叶(ゆうが)くん(15)は、「休みの日など、少年野球に教えにいったりしているが、教えることはやっぱり難しい。しっかり教えられるように自分もレベルアップしないといけない」と意気込んだ。
他球団、高野連も巻き込んで横の広がりを
「中学生になる時に野球をやめてしまう子が多い。中学校や、クラブチームから子どもが集まらないという話を聞いていた」と話す同イベント担当者。そこで、より多くの野球少年に夢を追い続けてもらうため、同体験会を企画した。
ただ、一球団単位ではできる範囲が限られているため、「全国的に展開できる中学、高校、さらに他の球団や高野連など、横に広げていきたい」と目論む。
「小学生にとって中学生は身近で憧れの存在。そういう人に教えてもらうことによって野球人口が増えるきっかけを作っていければ。継続してやっていきたい」と話した。
野球界の抱える大きな問題。今後の日本野球界を盛り上げていくためにも、こういった取り組みが増え、野球人口減に歯止めがかかることを期待したい。