パラリンピック正式種目化へ…すそ野を広げる「車椅子ソフトボール」
先日、2020年の東京五輪で野球・ソフトボールが正式種目として3大会ぶりに復活することが決定した。
4年後へ向けて、野球・ソフトボール熱が高まるなか、もう一つのソフトボール「車椅子ソフトボール」がパラリンピック正式種目化を目指し、様々な活動を行っている。
同種目の歴史は浅く、バスケットボールやテニスなど他の車椅子競技と比べ、まだまだメジャーとは言い難いが、そのすそ野は確実に広がっているという。
2013年に「日本車椅子ソフトボール協会」が発足。同年に「第1回全日本車椅子ソフトボール選手権大会」が開催された。その参加チームは、第1回は2チームだったが、今年7月の第4回大会では、12チームに増加した。
「日本には元々野球文化が根付いている。初めてやる人もルールはだいたいわかるし、広がりやすい」と、日本代表で「埼玉A.S.ライオンズ」に所属する堀江航選手は話す。
また、パラリンピック正式種目化に向けては日本だけでなく、世界への普及も今後の課題となる。
同競技が最も盛んなアメリカでは、40年以上の歴史を持ち、メジャーリーグの傘下に入っている車椅子ソフトボールチームも多い。堀江選手自身も、アメリカで同競技を始めたという。
そのアメリカで開催されていた車椅子ソフトボールの「全米選手権」が2014年より「ワールドシリーズ」という名称に変更。徐々に世界へと広がりを見せている。
今年の「ワールドシリーズ」では19チーム中5位という好成績を残した日本代表。「まずはアジアでリーダーシップを取り、韓国や台湾など野球が盛んな国を筆頭に広げていければ」と堀江選手は意気込んだ。
残念ながら、2020年の東京パラリンピックの正式種目はバドミントンとテコンドーが採用され、車椅子ソフトボールの採用は叶わない模様。しかし、今後へ向けてまずは東京大会での公開競技採用を目指す。
今週末に「第2回ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会」が開催…元横浜の古木氏も参戦!
徐々に認されはじめた「車椅子ソフトボール」であるが、その支援の輪も広がっている。
そんななか、早くから支援に名乗りを上げていたのが西武ライオンズだ。
西武は野球振興の一環として2013年から日本車椅子ソフトボール協会のスペシャルサポーターを務め、同じ野球型スポーツである同競技の普及、発展をあらゆる形で支援してきた。
8月28日の試合前には、西武プリンスドームフラッグス前広場で堀江選手ら10名が「車椅子ソフトボール体験会」を実施。300人を超えるファンが参加し、楽しんだ。
「皆さん楽しんでくれた。日本での大会は障害のない人も参加可能なので、車椅子という道具を使った競技としてとらえてもらえれば」と参加を促す堀江選手。また、「野球をやりたいという障がい者も多いと思う。そういう人の選択肢が増えればいいなと」と話した。
また、9月の3、4日には県営大宮球場隣の大宮第二公園多目的広場で「第2回ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会」が開催される。同日は、本大会だけでなく、一般体験会も行われる。
昨年開催された第1回大会は、地元埼玉県の「埼玉A.Sライオンズ」が優勝。同チームに所属する堀江選手は「第1回同様に盛り上げていきたいですし、優勝して花を添えられるように」と意気込んだ。
横浜、オリックスなどでプレーした元総合格闘家の古木克明氏も昨年に引き続き出場する予定だ。
パラリンピックの正式種目化へ、そして障害のあるなしに関わらず、「野球」が楽しめる環境へ…。様々な支援が「車椅子ソフトボール」の未来を変える。
第2回ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会概要
大会日程:9月3日(土)9:00~17:00(予定)9月4日(日)9:00~14:00(予定)
大会会場:大宮第二公園 多目的広場 ※雨天決行 荒天中止
実施内容:本大会
日本車椅子ソフトボール協会加盟6チームによるリーグ戦
体験会
一般参加者を対象とした体験会。スタッフによる競技用車椅子の乗り方や走る、投げる、打つ練習、ミニゲームを実施予定。