春先は不調も…
25年ぶりVへ、広島が独走状態に入った。優勝マジックは「9」となり、いよいよ秒読み段階。その一方で、火花が散り始めたのがCS圏内を巡る3位争いだ。
ここに来て低迷していた昨季の覇者・ヤクルトが好調。DeNAと阪神の争いに割って入り、現在は3位まで1ゲームに迫っている。
14年ぶりにリーグ優勝を達成した昨季から一転、最下位に沈むこともあったツバメ軍団。守護神トニー・バーネットのメジャー移籍や、代役だったローガン・オンドルセクの突然の退団などもあってリリーフ陣が崩壊。川端慎吾や畠山和洋といった打線の軸もケガで欠き、今季のセ・リーグでは唯一、貯金生活を経験していない。
しかし、8月に入ってからは状況が変わりつつある。川端、畠山のみならず山田哲人に雄平と打の役者を欠きながら、投手陣の踏ん張りもあって15勝9敗と大きく勝ち越し。長らく5位~6位を行き来していたチームだったが、一気にCS圏が見える位置まで浮上した。
エース・小川が復調
上でも触れた通り、ここに来て投手陣が安定してきたことが一番大きい。
チームの月間防御率を振り返ってみると、3・4月が5.14、5月が4.54、6月が5.52、7月が5.11と悲惨な状況が続いていた。それが8月に入ると、開幕から苦しんでいた左右の両輪・小川泰弘と石川雅規が復調。アンダーハンドの山中浩史も持ち味を発揮し、先発陣が試合を作れるようになった。
中でも小川はスイッチが入ったかのような激変ぶりを見せ、8月は5試合で4勝負けなし、防御率2.08を記録。8月17日のDeNA戦からは3試合連続で完投勝利を挙げるなど、ここへ来てエースとしての存在感を発揮している。
野手は今浪が存在感
また、野手陣も故障者が続出したことがいい方向にも転んだ。
若手や中堅に多くのチャンスが与えられた中で、西浦直亨や谷内亮太、今浪隆博、鵜久森淳志らがしっかりとアピール。結果的に野手の選手層が厚くなった。
特に一塁と三塁で先発出場することが増えた今浪は、中軸を任されるなど“打”で猛アピール。7月10日の中日戦で先制3ランを放てば、12日の阪神戦でも先制打を放つなど、7月は月間打率.341を記録した。
加えて代打でも打率.382と勝負強さを発揮しており、スタメンでも途中からでも結果を残す貴重な存在となっている。
勝負はこれから
思えば14年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた昨季も、前半戦では40勝43敗1分の4位に終わっていた。
それが後半戦で36勝22敗1分と「14」の勝ち越しを作り、一気に頂点へと上り詰めている。
そして今季も、前半戦は38勝49敗1分で最下位。そこから後半戦で19勝17敗と盛り返し、いよいよ勝負ができる位置まで上がってきた。
投手陣が安定し、野手も川端や雄平といったところが復帰目前。ヤクルトにとっての“本番”はこれから。9月戦線は、昨季王者の巻き返しに注目だ。