藤浪の記録が風前の灯
阪神の藤浪晋太郎が14日、本拠地での広島戦に先発。初回に自己最速となる160キロを計測したが、7回途中3失点で勝ち星は掴めず。7勝目はお預けとなった。
これにより、高卒1年目から続いている連続2ケタ勝利の記録更新がかなり難しい状況となった。
松坂大輔以来、2リーグ制後では史上9人目となる高卒ルーキーイヤーからの3年連続の2ケタ勝利を達成した虎の若きエース。今年は更なる進化に期待が高まったものの、今シーズンはかねてからの課題であった制球難にも苦しみ、ここまで6勝止まり。リーグトップタイの11敗を記録するなど、苦しい戦いが続いていた。
【高卒1年目からの勝ち星】
藤浪晋太郎
1年目:10勝
2年目:11勝
3年目:14勝
4年目: 6勝
日本記録は鈴木啓示
それでも、藤浪が残した記録が色褪せることはない。そもそも、高卒1年目から2ケタ勝利を挙げる投手自体が一握り。そこからさらに2ケタ勝利を続けていくというのは至難の業である。
ここでは、そんな「高卒1年目からの連続2ケタ勝利記録」の歴代トップ5をまとめてみた。
藤浪の3年でも十分立派なこの記録、日本記録はなんと「15年連続」だ。達成したのは近鉄伝説のエース・鈴木啓示である。
鈴木は2年目に21勝を挙げると、同年から5年連続で20勝以上を記録。4年目には24勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得した。
7年目から3年間は20勝に届かなかったが、10年目に22勝、12年目に20勝、13年目に25勝をマーク。この15年間で計266勝の勝ち星を挙げた。
1位 鈴木啓示(15年連続)
期間:1966年~1980年
<近鉄>
1年目:10勝
2年目:21勝
3年目:23勝
4年目:24勝☆
5年目:21勝
6年目:21勝
7年目:14勝
8年目:11勝
9年目:12勝
10年目:22勝
11年目:18勝
12年目:20勝 ☆
13年目:25勝 ☆
14年目:10勝
15年目:14勝
15年合計:266勝
2位は巨人V9時代のエース
鈴木に次ぐ2位は、巨人・堀内恒夫の「13年連続」。
1年目に開幕13連勝を含む16勝を挙げると、2年目以降も毎年コンスタントに2ケタ勝利を記録。7年目にはキャリアハイとなる26勝をマークした。
V9時代にエースとして巨人を支えた堀内だが、意外にも20勝以上記録した年は7年目の1度しかなかった。
2位 堀内恒夫(13年連続)
<巨人>
期間:1966年~1978年
1年目:16勝
2年目:12勝
3年目:17勝
4年目:14勝
5年目:18勝
6年目:14勝
7年目:26勝 ☆
8年目:12勝
9年目:19勝
10年目:10勝
11年目:14勝
12年目:10勝
13年目:12勝
13年合計:194勝
3位は梶本と江夏の2人
第3位は「9年連続」で2名。梶本隆夫と江夏豊であった。
梶本は1年目から20勝を記録するも、新人王は宅和本司(南海)が受賞したため、新人で20勝を挙げながらも同賞を獲得することができなかったという伝説も残る。
その後は、3年目、4年目、7年目に20勝以上をマーク。“ガソリンタンク”の異名を持った米田哲也とともに“ヨネカジコンビ”で阪急を牽引した。
3位 梶本陸夫(9年)
期間:1954年~1962年
<阪急>
1年目:20勝
2年目:18勝
3年目:28勝
4年目:24勝
5年目:16勝
6年目:11勝
7年目:21勝
8年目:17勝
9年目:14勝
9年合計:169勝
江夏は1年目こそ12勝にとどまったが、2年目に25勝を挙げ、最多勝のタイトルを獲得。7年目にも24勝を記録し、自身2度目の最多勝に輝いたが、8年目と9年目は12勝と成績が下降。翌年、南海へトレード移籍した。
3位 江夏豊(9年連続)
期間:1967年~1975年
<阪神>
1年目:12勝
2年目:25勝 ☆
3年目:15勝
4年目:21勝
5年目:15勝
6年目:23勝
7年目:24勝 ☆
8年目:12勝
9年目:12勝
9年合計:159勝
稲尾は高卒1年目から8年目までに234勝!
最後に紹介する5位は、“神様、仏様、稲尾様”と呼ばれた西鉄の稲尾和久。連続記録は8年に留まったが、その間に挙げた勝ち星は鈴木に次ぐ234勝と驚異的な数字を残している。
1年目に21勝をマークすると、2年目からは3年連続で30勝を記録。6年目には、プロ野球のシーズン記録となる42勝を挙げた。
投手分業制となった現在では考えられない数字だが、先発・リリーフにフル回転した不滅の大記録である。
5位 稲尾和久(8年連続)
期間:1956年~1963年
<西鉄>
1年目:21勝
2年目:35勝 ☆
3年目:33勝 ☆
4年目:30勝
5年目:20勝
6年目:42勝 ☆
7年目:25勝
8年目:28勝 ☆
8年合計:234勝
※☆は最多勝