戦う選手たちはどう感じているのか...
2016年のプロ野球もいよいよ大詰め。12日からは日本シリーズ進出をかけたクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージが幕を開けた。
“短期決戦”という部分が強調され、普段とはまた違った戦いになると言われるポストシーズンであるが、実際に戦場に立つ選手たちはどのように感じているのだろうか...。
今回も現役時代にヤクルト、日本ハムで活躍した増渕竜義氏に『短期決戦』について聞いてみた。
短期決戦の“カギ”は...
私の実績から大したことは言えないですが、実際に経験した身として言えることは、短期決戦で最も大事なのは「メンタル」だと思いますね。
選手たちは、試合で自分の持っている力を100%発揮できるように準備をします。それには気持ちの準備、試合への気持ちの持って行き方がとても重要になってきます。
少しでもマイナスな思考があると、試合でのパフォーマンスは落ちます。少しでも不安な要素や気持ちを持っていると、必ずプレーに反映するのです。
『短期決戦』は、文字通りあっという間に終わってしまいます。そこでいかに自分の力を存分に出せるか否か...。これが大きなポイントになります。
ラッキーボーイ的な活躍をする選手になるか、まったく何もできずに終わってしまう選手になるか。そこには、やはり気持ちの面での違いがあるのだと思います。
いかにして不安を自信に変えるか
私自信もそうだったのですが、試合で少し自信がないときがありました。
投手でしたので、この気持ちをマウンドで感じたことは失格です。不安な気持ち、自信の無いボール。打たれるのではないかという消極的な気持ち...。こんな気持ちで投球すると、思うところに投げれず、たいていは痛打されます。「気持ちがボールに乗り移る」ということは何度も経験しました。
気持ち的に不安があるという事は、その時点で打者と対戦しているのではなく、自分自身との戦いになっているということ。これでは、打者と勝負になんかなるわけがありません。ですから、いかにその不安を自信に変え、本番に挑めるかが大きなポイントになるのです。
そして、その自信を試合の中で確信へと変えていくことができれば、さらなる自信と成長につながると思いました。
最後まで強い気持ちで!
やや話はそれましたが、「いかに強い気持ちと自信をもって試合に臨めるか」が短期決戦における重要なポイントだと思います。
試合は3時間以上かかるかもしれませんが、やっている選手たちにとってはあっという間に試合が終わってしまうという、不思議な感覚があるのが短期決戦です。それだけ選手は気持ちが張っています。
一瞬たりとも気が抜けない試合ですし、だからこそ少しでも弱気な部分があったら負け。強い気持ちを持って戦うことが重要になるのです。
個人的には、同期の梶谷隆幸(DeNA)に注目。ああ見えてものすごく気持ちが強いタイプなので、苦境にも気合いで立ち向かっていく姿勢がチームを良い方向へと導くと思います。
▼ 増渕竜義・プロフィール
株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。