ニュース 2016.10.15. 20:00

かつてのドラ1右腕に聞くドラフト会議 『スカウトの人』

ドラフト会議は20日!


 いよいよ10月20日に開催されるプロ野球・ドラフト会議。選手と球団のその後を左右する“運命の一日”がいよいよ近づいてきた。

 今年は高校生投手を中心に“豊作”と言われ、直前になっても各球団の1位がなかなか見えてこないという珍しい年。果たしてどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみだ。

 今回はドラフト会議をたのしむ上で知っておきたい“指名を待つ側”の気持ちを探るべく、2006年の高校生ドラフト1位でヤクルトに入団した増渕竜義氏に話を聞いた。


『スカウトの人ってどのくらい見に来るの?』


 球団によっても違うと思いますが、学校での練習にも来られてましたし、練習試合にもよく足を運んでいただいたと思います。

 練習時はいつもと変わらずグラウンドで汗を流しているのですが、明らかに学校に不釣り合いな“真っ黒に日焼けしたスーツ姿の方”が立っているので、「あの人スカウトだな」と思っていました。ふつう学校のグラウンドにそんな恰好をした人はいないですから、瞬時にわかりますよね(笑)

 練習試合もそうです。投手が対象であれば、ほとんどのスカウトはバックネット裏に陣取って、スピードガンを手に試合を見守っています。マウンドからその姿がどうしても目に入ってしまうので、いいところを見せようと少し力んだ記憶がありますね。

 あるスカウトから聞いたのですが、視察に来る際には選手の投球や技術を見るのはもちろん、それぞれ違う部分も見ているそうです。

 選手の技術や素材も大事だけど、選手の人間性もしっかりと見極めなければならない。練習から垣間見える野球に対する姿勢、その選手の性格...。技術と同じくらい、人間性を重要視するそうです。


スカウトを“見破る”ための秘策


 ただし、「スカウトの方だ」という確信はあるのですが、実際にグラウンドに来ているスカウトが“どの球団のスカウトなのか”というのは分かりません。もちろん名前もですし、もっと言うと本当にスカウトの方なのかも分かりません。

 なぜなら、高校生はスカウトと直接話すことが禁じられているからです。ちなみに、監督さんもどの球団のスカウトが来たなんて情報は教えてくれなかったですね。

 ですから、僕はヤクルトと西武から1位指名を受けたわけですが、当時はどの人がどの球団のスカウトだったのか、全く分かっていませんでした。後のあいさつの時に初めて「あー、あの時に見に来てくれていた人だ...」なんていう感じです。


 と言いましたが、実はただひとつだけ、グラウンドにいた人がスカウトだったのかどうか、さらにどこの球団の人だったのかを知る術があるんです。

 例えば、練習試合があったとしますよね。ネット裏にはスピードガンを手にしているスーツ姿の人がいます。果たして、この方は本当にスカウトの方なのか、そしてどの球団なのか...。

 そんな時は、翌日のスポーツ新聞を購入します。すると、ある程度注目されている選手であれば、そこにスカウトのコメントが掲載されているのです。それも、球団名とスカウトの名前入りで。この“翌日のスポーツ新聞”こそが、唯一の情報源でした。

 ですから僕の場合、そのスーツ姿の人を見た次の日は必ずスポーツ新聞を買ってチェックしてました。なので、そこからヤクルトがよく僕のことを見てくれているという意識はあったのです。


▼ 増渕竜義・プロフィール
masubuchi

株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。
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