ニュース 2016.10.15. 13:00

かつてのドラ1右腕に聞くドラフト会議 『豊作年の注目ポイント』

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2006年の最大の目玉は4球団が競合した田中将大だった(C)KYODO NEWS IMAGES

ドラフト会議は20日!


 いよいよ10月20日に開催されるプロ野球・ドラフト会議。選手と球団のその後を左右する“運命の一日”がいよいよ近づいてきた。

 今年は高校生投手を中心に“豊作”と言われ、直前になっても各球団の1位がなかなか見えてこないという珍しい年。果たしてどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみだ。

 今回はファンが知り得ない“指名を待つ側”の気持ちを探るべく、2006年の高校生ドラフト1位でヤクルトに入団した増渕竜義氏に話を聞いた。


“黄金世代”のドラフトを振り返る


 私の世代、2006年のドラフト会議は高校生/大学生&社会人とカテゴリーがまだ分かれていました。

 高校生ドラフトでは、“マー君”こと田中将大(駒大苫小牧)や堂上直倫(愛工大名電)、大嶺祐太(八重山商工)、坂本勇人(光星学院)らが僕らの間でも有名な選手でした。

 中でも田中選手と堂上選手は、高校生の間でもスター的な存在。投手なら田中、打者なら堂上って感じでしたね。


 田中選手といえば、甲子園での大活躍。あの斎藤佑樹(早稲田実業)と投げ合った決勝戦は伝説です。心技体すべてそろった投手という印象を持っていました。私は甲子園に行けなかったので、あの決勝戦をテレビ観戦したのを覚えています。

 堂上選手も、バッティングがすごくて有名でした。「尾張のプリンス」って呼ばれていましたよね。すごいショートがいるって、話題になっていました。大嶺選手も本格派の投手で、すごく球威のあるボールを高校時代から投げていた印象があります。あとはPL学園の前田健太ですかね。高校生の時からコントロールが良かったです。カーブも当時からキレキレでしたね。


“逸材揃い”だからこそ下位指名選手も見逃せない


 とにかくこの年はマー君と堂上の2人が抜けている感じで、ドラフトもこの2人で1位指名を独占するんじゃないか、と私は思っていました。

 さらに前田や坂本もいましたから、本当に僕なんかドラフト指名されるのかって思っていました。ドラフト会議は当日指名されるまで自分の名前が呼ばれるという確証がないものですから。いや、田中や堂上くらいずいぶん前から騒がれていれば“確信”はしていたかもしれませんが(笑)

 個人的には坂本選手が1巡目で呼ばれなかったのに不思議な感じがありました。結局、1巡目で堂上を指名した巨人がクジ引きで敗れ、坂本選手を指名。「やっぱりな」と思いました。


 また、こういったスター選手を続々と輩出した“88世代”ですが、ドラフト1位でなくてもチームに欠かせない存在へと成長した選手が多くいます。

 横浜に3位で入った梶谷隆幸選手(開星)もそうですし、広島3位の会沢翼選手(水戸短大付)、外れ1位では日本ハムの吉川光夫(広陵)やソフトバンクの福田秀平(多摩聖丘)など、当時は注目度がそこまで高くなかった選手でも、今や主力選手に成り上がりました。

 いずれにしても、プロで戦ってみて思うのは、プロに入ってからはドラフトの順位は関係ないってことです。完全な実力社会。もちろん素質の部分はあるかと思いますが、本人の努力次第という事でしょう。

 今年も2006年に負けず劣らずの逸材揃いということですが、1位確実の注目選手はもちろんのこと、数年後の“下位からの逆襲”にも注目です。


▼ 増渕竜義・プロフィール
masubuchi

株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。
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