ドラフト会議は20日!
いよいよ10月20日に開催されるプロ野球・ドラフト会議。選手と球団のその後を左右する“運命の一日”がいよいよ近づいてきた。
今年は高校生投手を中心に“豊作”と言われ、直前になっても各球団の1位がなかなか見えてこないという珍しい年。果たしてどんなドラマが生まれるのか...。今から楽しみだ。
今回はドラフト会議をたのしむ上で知っておきたい“指名を待つ側”の気持ちを探るべく、2006年の高校生ドラフト1位でヤクルトに入団した増渕竜義氏に話を聞いた。
『ドラフト当日ってどう過ごしてる?』
ドラフト会議の当日ですか。何も変わらない、普段と同じ行動でしたね。
朝起きて、朝ご飯を食べて登校。1時間目から授業を受けますし、本当に普段とまったく同じです。
ただ、昼休みが過ぎたころですかね。ちょっと周囲が騒がしくなるというか、主に野球部員たちがざわつき始めるんですよ。「本当に指名されるのか...」とか、「テレビの人たちが来たぞ...」とかですね(笑)
確かに外を見ると、テレビ関係の車であったり、スーツを着た報道関係の方が多く学校に来ているんですよね。なにか学校自体がそわそわしてきたというか、そんな感じでした。学校の廊下に、「記者会見室はこちら」みたいな案内の紙も張り出されていたりして。
でも、午後の授業も普通にありましたし、僕自身は結構落ち着いていたと思います。
直前になってようやく...
ただ、ドラフト会議の時間が近づいてきた時ですかね。さすがにちょっと様子が変わってきます。
時間になったら呼び出されて、監督さんとドラフト会議の様子をテレビで見守っていました。「指名されたら記者会見がある」という事も、その時に聞かされていました。
でも、僕はギリギリまで「本当に指名されるのか...」という不安な気持ちで一杯でしたね。甲子園にも行っていないし、この2006年のドラフトというのはスター候補生がずらりと並んでいました。
駒大苫小牧の田中将大と、愛工大名電の堂上直倫という2人が目玉で、加えて八重山商工の大嶺祐太や、PL学園の前田健太などなど...。その中で本当に僕が指名されるのか、という思いでテレビを見つめていました。
結果的には、ヤクルトと西武の2球団から1位指名を受けました。ホッとしたというか、本当にうれしかったですね。競合で抽選になったのですが、プロに行けるだけでもありがたかったので、本当にどちらでもよかったんです。
ヤクルトとの“縁”
西武は伊東勤監督、ヤクルトは古田敦也監督がクジを引きました。当たりを引いたのは古田監督。その瞬間、“深い縁”を感じました。
というのも、母親がヤクルトレディをやっていたんです。子供のころからヤクルトはよく飲んでいましたし、これも何かの縁なのかなと思いましたね。
見届けた後、体育館へ移動すると、そこはすでに記者会見場となっていました。多くのテレビカメラと報道陣がいらっしゃって、初めてその場で実感がわいてきました。
なので、ドラフト当日は朝からずっとバタバタしているとか、そういうことは一切ないと思います。当の本人は不安だらけで、周りもなんとなく気を遣ってくれている感じがあります。
なんら変わらない朝から始まり、普段と変わらない日常。慌ただしくなるのは、本当に直前になってからですね。そして、今まで経験したことのない夜を迎えるといった不思議な1日。これがドラフト会議当日の流れです。
▼ 増渕竜義・プロフィール
株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。