ドラフト会議は20日!
いよいよ10月20日に開催されるプロ野球・ドラフト会議。選手と球団のその後を左右する“運命の一日”がいよいよ近づいてきた。
今年は高校生投手を中心に“豊作”と言われ、直前になっても各球団の1位がなかなか見えてこないという珍しい年。果たしてどんなドラマが生まれるのか...。今から楽しみだ。
今回はドラフト会議をたのしむ上で知っておきたい“指名を待つ側”の気持ちを探るべく、2006年の高校生ドラフト1位でヤクルトに入団した増渕竜義氏に話を聞いた。
『契約金ってどう決まる?』
ドラフトで指名されると、すぐに球団の方が学校に来て、そこで仮契約を結びます。
しかも、この仮契約の時にいきなり契約金と年棒の提示があります。基本的には、球団が決めた額を受け入れることになります。僕は監督さんからその金額を聞いたのですが、まだ高校生ですからピンときませんでした。
「契約金8000万円、年俸800万円」――。
なにせ、その頃は1000円使うのも渋っていたころですよ。想像もできなかったですね...(笑)
8000万円ですよ。1000円札が何枚なんだろうって。ちなみに、契約金は税金などが引かれるようですが、全額一括入金です。ですから口座にいきなり何千万円という大金が振り込まれることになります。
ちなみに、今思えば見ておけば良かったなとも思うのですが、その大金が入った預金通帳は親に管理してもらっていたので、見たことはありません。
『契約金の使い道は?』
よくテレビのインタビューなどで、「契約金の使い道は?」という質問をされている選手を見かけると思いますが、正直なところ高校生では使い道もへったくれもないと思います。
とにかく、高校生が管理できる金額ではないので、ほとんどの選手は親に管理してもらうことになるのでしょう。
ただ、僕はひとつだけ親に頼んで大きな買い物をしました。お世話になった学校に、打撃マシンとボールを贈ったんです。
ここまで育ててくれた方々に、何か恩返しをしたかった。僕が通った鷲宮高校は公立高校。公立高としては十分と言える施設が整っていましたが、私立高に負けるなという思いも込めて、贈呈させてもらいました。それが唯一の買い物です。
▼ 増渕竜義・プロフィール
株式会社King Effect代表取締役。1988年5月3日生まれ、28歳。
同期に田中将大(ヤンキース)や前田健太(ドジャース)がいる“88世代”。
埼玉の公立校・鷲宮高校で1年生からエースとして活躍。
3年時には最速147キロをマークしたが、甲子園出場経験はなし。
2006年の高校生ドラフトで西武とヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果ヤクルトに入団。
2013年までの7年間で先発・中継ぎに活躍し、通算157試合に登板した。
2014年にはトレードで日本ハムへと移籍。2015年に現役を引退。