リーグ史上初の快挙
10年目の覚醒...。2016年シーズンは、坂本勇人という選手の更なる伸びしろが見えた年だった。
故障もあって、不本意な成績に終わった2015年。悔しさを糧にして臨んだ今季は打撃フォームの改造が奏功し、4月はひと月で月間打率.368、6本塁打、18打点の大暴れを見せる。
スタートダッシュに成功すると、途中で足の故障などがありながらもハイアベレージはキープ。結局、月間の打率が3割を切ったのは6月のみで、苦しみがちだった夏場も、8月は月別最高の.391をマーク。9月も.348でフィニッシュし、終わってみれば通算.344でハイレベルなセ・リーグの首位打者争いを制した。
セ・リーグでは史上初となる遊撃手の首位打者獲得。球界を代表する選手でありながら、いまひとつ物足りない成績が続いていただけに、大きく殻を破った1年となった。
3000本安打への期待
プロ2年目から巨人軍でレギュラーを張り、2014年オフには球団史上最年少で主将に就任。重責を背負いながら、男はまた一回り大きくなった。
ちょうど12月14日、今日が28回目の誕生日。ここまでの10年間で積み上げた安打は「1402」。このペースで行けば2000本はすぐそこ、もっと飛ばして3000本安打への期待も高まってきている。
以下は、通算2500安打以上を記録した選手たちの、28歳のシーズン終了時点での通算安打数。
【28歳シーズン終了時の通算安打】
イチロー 1520本(通算4308本) ※どちらも日米記録
張本 勲 1386本(通算3085本)
野村克也 1199本(通算2901本)
王 貞治 1222本(通算2786本)
松井稼頭央 1433本(通算2683本) ※通算のみ日米記録
松井秀喜 1390本(通算2643本) ※通算のみ日米記録
門田博光 896本(通算2566本)
衣笠祥雄 965本(通算2543本)
福本 豊 822本(通算2543本)
金本知憲 314本(通算2539本)
こうしてみると、イチローはメジャー1年目の242安打を含んでいるものの、それを除けば1400本に到達しているのは松井稼頭央ただ一人。坂本がいかにハイペースで安打を積み上げているか、お分かりいただけるだろう。
ちなみに、2000本安打の最速記録は榎本喜八氏が残した31歳7カ月というもの。ということは、あと3年7カ月の間に598本の安打を積み上げれば、史上最速記録の更新となる。
かなりハードルは高いが、今シーズンの活躍ぶりを見せられたら期待も膨らむ。進化した坂本ならば、きっといいところまで行ってくれることだろう。
大型補強で巻き返しに燃えるチームを、良い方向へと導いていくのはこの男の役目。飛躍の10年目を経て迎える、11年目の坂本勇人から目が離せない。
▼ 坂本勇人・年度別成績
2007: 4試 率.333(3-1) 本0 点2
2008:144試 率.257(521-134) 本8 点43
2009:141試 率.306(581-178) 本18 点62
2010:144試 率.281(609-171) 本31 点85
2011:144試 率.262(568-149) 本16 点59
2012:144試 率.311(557-173) 本14 点69
2013:144試 率.265(554-147) 本12 点54
2014:144試 率.279(545-152) 本16 点61
2015:130試 率.269(479-129) 本12 点68
2016:137試 率.344(488-168) 本23 点75
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[通算] 1276試 率.286(4905-1402) 本150 点578