コラム 2014.12.16. 11:51

投手断念から奇跡の復活に“ある投手”の存在 日本代表左腕・松葉貴大の球歴とは…

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来季2桁勝利に期待がかかるオリックス松葉貴大[Getty Images]

高校1年で故障して投手断念……「2番・ライト」で甲子園出場!


 2014年シーズン、あと一歩のところで優勝を逃したオリックス。来シーズンに向けた超積極的補強で、ストーブリーグの話題をさらっている。

 ブライアン・バリントン(広島)、トニ・ブランコ(DeNA)に、日本ハムの主力・小谷野栄一、そして、「逆輸入選手」中島裕之。あるスポーツニュースでは、「4人の獲得総額21億5000万円」と報じていた。まさに、大型補強である。

 在籍選手、特にチーム防御率が唯一の2点台(リーグ1位)という投手陣は、もともと充実の戦力だ。エース・金子千尋の去就は見えないものの、12勝の西勇輝に、8勝をあげた左腕・松葉貴大には二ケタ勝利の期待が高まる。

 来季がプロ3年目となる松葉は1990年生まれ、兵庫県出身。甲子園出場経験のある父親の影響で野球を始め、中学時代は硬式の「姫路ボーイズ」に所属。松葉が4期生という新しいチームで、父親がコーチとして在籍する「親子鷹」だった。小学生の頃から毎日のように練習に付き合ってくれたそうで、松葉はプロ入り後、「自分にとって恩師とか師匠という存在は父です」と語っている。

 高校は、父親の母校でもある東洋大姫路高校(兵庫)へ。名門校で1年秋からエースの座をつかむが、利き腕の左ヒジを痛めてしまう。短期間で治るものではなく、悩んだ末に投手を断念。外野手となった。

 2年秋、チームは近畿大会を勝ち上がり、3年春の甲子園出場。大学、プロと指名打者制のリーグにいる松葉だが、2番・ライトとしてシュアなバッティングを披露。広い甲子園を駆け回った。準々決勝では、岡田俊哉(現・中日)がエース、坂口真規(現・巨人)が4番の智弁和歌山高校に2対0で勝利。準決勝では、東浜巨(現・ソフトバンク)がエースの沖縄尚学高校に2対4で敗れた。

 3年夏の甲子園は記念大会で、兵庫県から東西2校が出場できたが、東洋大姫路高は2回戦で敗退し早々に引退となった。


大学で投手再転向! プロでは「外れ外れ1位」からの逆襲!


 中学時代から「プロ」と「指導者」という2つの夢を持っていたという松葉は、大阪体育大学に進学した。ここで、転機が訪れる。

 同じ阪神大学野球連盟に所属する関西国際大学の2学年上に、松永昂大(現・ロッテ)がいた。この左腕を攻略するべく「仮想・松永」として選ばれたのが、1年生の松葉。左ヒジの故障も癒えており、練習で投げ続けていると、チーム内での評価が急上昇。投手に再転向することになったのだ。

 1年春のリーグ戦から登板し、大学4年間で通算31勝。最速149キロのストレートに、スライダー、カーブ、ツーシームも投げ、力勝負と打たせて取るピッチング、両方できる先発左腕として、プロのスカウトが熱視線を送る存在になった。

 迎えた2012年ドラフト。目玉は大谷翔平(花巻東高校→日本ハム)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭高校→阪神)、東浜巨(亜細亜大学→ソフトバンク)。オリックスの1位指名は藤浪で、抽選で外れて指名したのは、あの松永昂大(大阪ガス→ロッテ)。再び抽選で外れて指名した「外れ外れ1位」が松葉だった。振り返ってみれば、投手として復活するキッカケを作ってくれた松永だが、この流れには「藤浪くん、松永さんと投げ合って勝ちたいです」とコメント。「勝ちにこだわって10勝はしたい」という二ケタ勝利宣言とあわせて期待と注目を集めた。

 しかし、プロ1年目のキャンプは2軍スタート。紅白戦で打ち込まれ「1軍はスイングが違う。打ち損じてくれない。あまりにも課題が多すぎます」とコメントした。5月に初勝利をあげたが4勝6敗。目標の二ケタ勝利は達成できなかった。それでも、11月に行われた「2013 BASEBALL CHALLENGE」日本代表に選出。台湾代表との第3戦で2番手として登板。勝利投手となっている。

 2年目の2014年も開幕は2軍。5月18日から19戦無敗の7連勝を記録したが、二ケタに届かず8勝。しかし、「貴重な左腕」という日本代表・小久保裕紀監督の評価は揺るがず日米野球を戦う日本代表に選ばれた。日米野球では、2番手として2試合に登板。最終日の親善試合で4番のエバン・ロンゴリア(レイズ)にホームランを打たれたものの、小久保監督の信頼に応えた。さらに自身の収穫として、前田健太(広島)らプロで結果を残す選手の姿にふれ「試合前は自然体なのに、ブルペンでは顔つきが変わる。9回を投げきる集中力という意味で勉強になった」と語った。

 9日に行われた契約更改では、1700万円増の3500万円(推定)で一発サイン。「運はあったのに二ケタ勝てなかったのは力が足りないから」「投げる体力がまだまだ」「二ケタ勝利は確実に超えないといけない」と自らに厳しくコメントした。

 投手断念から奇跡の復活を遂げ、日本代表まで登り詰めた左腕が放つ、3回目の二ケタ勝利宣言。三度目の正直なるか、真価が問われる2015年シーズンである。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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