コラム

プロ野球史上最多の三振を喫した西武打線 巻き返しへのキーマンは森友哉?

球団初、監督が途中休養 シーズン100三振以上が5人……


 2002年から2年間監督をつとめた伊原春樹が復帰し、6年ぶりのリーグ優勝を目指した西武。しかし、いきなり3連敗と開幕ダッシュに失敗すると、5月25日には両リーグ最速で30敗に到達するなど最下位に低迷。6月4日にはシーズン53試合目にして伊原監督が休養し、打撃コーチの田辺徳雄が監督代行を務めることになった。シーズン途中で監督が交代するのは西武球団創設以来、初めてのことだった。

 監督交代後もチーム状態が好転することはなく、7年ぶりのシーズン負け越し、5年ぶりのBクラスと屈辱的なシーズンを送ることとなった。チーム防御率はパ・リーグ4位の3.77と及第点ともいえる成績だったが、チーム打率は両リーグ最低の.248。個人の最高打率はメヒアの.290で、95年以来の3割打者ゼロに終わった。

 チーム打率が低いだけではなく、1254三振は05年日本ハムの1151三振を抜く、プロ野球ワースト記録。1試合2ケタ三振も両リーグ最多の52試合を記録した。とにかくチーム全体において、三振が多いシーズンだったのである。

 史上初めてシーズン途中入団の本塁打王となったメヒアと、同じく34本塁打で5度目のタイトルを獲得した中村剛也。同一球団の選手で本塁打王を分け合うのは2リーグ制後初めての記録だったが、メヒアはリーグ最多の156三振、中村も124三振を喫した。ほかにも、木村文紀が112三振、栗山巧と浅村栄斗が100三振と同一球団で5人が100三振以上を記録したのもまた、プロ野球史上初めてのことだった。


22三振すべてが空振り三振 それでも森友哉に感じる可能性


 そんな不名誉な記録を作ったチームを変える可能性を秘めた男こそ、大阪桐蔭高からドラフト1位で入団し、高卒ルーキーでは93年松井秀喜(巨人)以来となる6本塁打を放った森友哉である。8月14、15日には2打席連続。16日も本塁打を放って高卒ルーキーでは史上3人目となる3試合連続本塁打もマークした。

 ただ、スラッガーの片鱗を見せた森でも92打席で22三振を喫しているから不名誉な記録に少なからずとも貢献したことは間違いない。しかもすべてが空振り三振だった。今季20三振以上を喫した選手で、見逃し三振がなかった選手は12球団で森だけだ。

 この数字だけを見ると、森は振り回すタイプの選手と思ってしまうが、92打席で12四球と、闇雲に振っているわけではないことが見えてくる。また、7.67打席に1つの四球を選んでいて、リーグ平均の11.77打席に1四球を大きく上回っている点も見逃せない。

 そして、フルカウントでの数字を見ても、打数こそ少ないものの6打数2安打で打率.333と高い。特筆すべきは、フルカウントでの三振が1つだけで、四球を7つ選んでいることだ。勝負の1球でも冷静にストライク、ボールの見極めができている証と言える。

 その選球眼の良さは、森に限らずチーム全体の特長でもある。リーグ2位の96四球を選んだ栗山を筆頭に、チームの四球数は12球団で唯一500個台の545四球。そのため、打率こそ最下位だが、出塁率はリーグ3位の.329まで上がっているのだ。

 三振も四球も12球団1位という何ともアンバランスな数字が……チームの不振を象徴するかのようではある。四球でチャンスを広げても三振でそのチャンスを立ち切ってしまっては、やはり勝ち星を増やしていくことは難しいだろう。

 森は三振も四球も多いという“今の西武打線”の特徴を持った選手ではある。しかし、見逃し三振が少ない、フルカウントでの見極めができる、というような特筆すべき特徴があることもまた事実。プロの水に慣れた2年目、よりレベルアップした彼の打棒が、ふがいないチームを変えていく可能性は十分にあるだろう。

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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