コラム 2015.01.29. 12:55

FA制度の誕生でめっきり減ったトレード移籍 かつて世間を騒がせた大型トレードは…

無断転載禁止
1対4の大型トレードで世間を驚かせた落合博満氏 © KYODO NEWS IMAGES

“俺たちの時代”80~90年代のプロ野球を語り尽くそう -80年代大型トレード編-

落合博満 ,


 プロ野球界のお正月、2月1日のキャンプインまであとわずか。長かったオフシーズンもようやく終わり、ファンが待ちに待った球春到来となる。

 今年のオフシーズンは大物選手のFAが大きく注目されたものの、終わってみれば金子千尋や鳥谷敬といった超ビッグネームは宣言残留。国内の移籍は当初考えられていたほど活発な動きは見られなかった。移籍と言えば、近年ではFAが主流となっているため、かつてのような大型トレードの話はほぼ皆無。FA制度が存在しなかった当時は、移籍は基本的にトレードのみ。だからこそ、大物選手が移籍となれば、野球界どころか世の中を揺るがすような話題になったものである。

 今回はそんなトレードで世間を沸かせた80年代の大物をランキングで紹介していこう。


1人対4人で成立した落合博満 江夏豊は移籍ごとに「優勝請負い人」の名声を獲得


 まず、第1位は現在も中日のGMとして辣腕を振るう落合博満(元ロッテ他)。1986年に2年連続でパ・リーグ打撃部門の三冠王(通算では3度目)を達成した落合は、恩師である前ロッテ監督の稲尾和久が解任された頃から球団への愛着を失い、年俸の高騰なども相まって球団からも腫れ物に触るようになっていた。

 そこへ切り込んだのが、39歳の青年監督として星野仙一が就任したばかりの中日だ。落合1人に対し、抑えのエース・牛島和彦を軸に桑田茂、平沼定晴の投手3人と内野のレギュラークラスだった上川誠二を加えた4人を付ける大型トレードが成立。大きな話題となった。

 当時のプロ野球は、パ・リーグの全国規模によるTV中継がほとんどされていなかった時代。熱心なファンは落合の打棒を知っていたが、一般の人にとってはプレーしている姿を見る機会も少なかったため、「この人オフのTV特番などにスーツ姿でゲスト出演しているけど、実際、どうなのかな? 巨人(地域によっては阪神や広島でも可)のピッチャーは通用するの?」という感じだった。それゆえ、中日に移籍直後の落合は、今では想像がつかない程の注目のされ方をしたのである。

 続いて2位は江夏豊(元阪神他)とした。江夏自身にとって、もっともターニングポイントになったトレードは、野村克也(元南海他)と出会った75年オフの南海への移籍だが、80年代にも2度のトレードを経験している。中でも80年オフに広島から日本ハムへ移籍した際には、広島のリリーフエースとして2年連続で日本一に貢献していた矢先である。 

 そこには、江夏と当時の広島の監督・古葉竹識との確執なども噂されたが、何はともあれ、広島は江夏の放出を決断。日本ハムの「親分」こと大沢啓二監督に対して、79年に20勝したアンダーハンドエース・高橋直樹を交換要員に挙げてトレードを申し込んだ。大沢は悩みに悩んだ末、「(この年あと1勝で逃していた)リーグ優勝をするために」と広島の条件を飲んでトレードが成立。翌81年は、その江夏が期待通りの大役を果たして日本ハムは球団創設以来初のパ・リーグ優勝を成し遂げた。江夏はこの頃から「優勝請負人」として、阪神の若き左腕エース時代とはまた趣のことなる地位を確立したのである。

3位は負け犬!? トレード未経験の選手を選んだワケは?


 最後に3位だが……数球団を渡り歩いた阪急の強打者・加藤英司や、球団との確執により中日から放出されてしまった田尾安志など候補はいたが、ここはあえてイレギュラーなケースとして定岡正二(元巨人)にしたいと思う。

「定岡? とんねるずの番組に出ていた『負け犬サダ』のこと?」。世代によってはそんな記憶しかない人もいるかもしれない。あるいは、巨人で活躍していた姿を知っている人も「あの人、トレードなんかされていないでしょ?」と突っ込むはず。にも関わらず3位としたのは理由がある。定岡は85年オフに近鉄・有田修三とのトレードが成立して発表されると、移籍を拒否して選手を引退してしまったからだ。

 プロ野球界は、それこそ前述の落合などが好成績を盾に「オレ流」を貫くようになったことで、ようやく球団が選手の考えや主張に耳を傾けるようになったが、85年頃はまだ微妙で球団の力が強かった。余程のことがない限り「行け!」と言われれば逆らえない空気が蔓延していたという。そんな状況下で、選手が唯一自分の意志で歯向かうことができたのが「引退」だったのだ。

 当時のプロ野球の実情をうかがい知るとともに、ミツバチが死を引き換えに針を使うがごとく29歳の若さで大型トレードにひと泡吹かせた定岡の決断に大きな衝撃を受けた筆者の見解を加味させて頂き、ランキング入りを容認してもらえたら幸いだ。

文=キビタキビオ(きびた・きびお)

【PR】プロ野球を観戦するなら「DAZN Baseball」

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

春季キャンプ、オープン戦、公式戦、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

ポスト シェア 送る
  • ALL
  • De
  • 西