コラム 2015.03.03. 12:21

ルーキーイヤーから活躍した投手の敵は「3年目の故障」

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1年目より3年目の成績が良かった西武の岸孝之©ベースボールキング
岸孝之,

新人2桁勝利到達者の3年目の成績


 2月28日のオープン戦で、“因縁の3人”の投球が明暗を分けた。2013年、そろって2桁勝利を挙げ、セ・リーグ新人王を争った小川泰弘(ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)、菅野智之(巨人)だ。

 小川と藤浪が開幕に向け順調な仕上がりを感じさせる好投を見せた一方で、菅野はヤクルト戦で3回6安打3失点。昨季終盤に発症した右肘故障の影響が残っているのか、直球、変化球とも力なく、これで実戦登板では3試合連続の失点だ。

 3人が迎えるプロ3年目。プロ野球界には「2年目のジンクス」という言葉はあっても、「3年目」を表す決まり文句は存在しない。1年目から活躍した選手にとっての3年目は、大器がさらなる成長を見せるのか、他球団に研究され成績を落としてしまうのか、それとも……。過去の数字からその傾向を探ってみたい。

 上原浩治(米レッドソックス)、松坂大輔(ソフトバンク)が鮮烈なデビューを飾った1999年以降に絞って、新人年に2桁勝利を記録した投手の1年目と3年目の成績を比較してみた。

・岩瀬仁紀(中日)
99年:65試 10勝2敗1S 防1.57
01年:61試 8勝3敗 防3.30

・上原浩治(巨人)☆1999年セ新人王
99年:25試 20勝4敗 防2.09
01年:24試 10勝7敗 防4.02

・福原忍(阪神)
99年:54試 10勝7敗9S 防4.09
01年:39試 9勝12敗1S 防3.13

・松坂大輔(西武)☆1999年パ新人王
99年:25試 16勝5敗 防2.60
01年:33試 15勝15敗 防御率3.60

・川越英隆(オリックス)
99年:26試 11勝8敗 防2.85
01年:14試 1勝5敗 防6.07

・石川雅規(ヤクルト)☆2002年セ新人王
02年:29試 12勝9敗 防3.33
04年:27試 11勝11敗 防4.35

・木佐貫洋(巨人)☆2003年セ新人王
03年:25試 10勝7敗 防3.34
05年:14試 0勝1敗5S 防3.95

・和田毅(ダイエー/ソフトバンク)☆2003年パ新人王
03年:26試 14勝5敗 防3.38
05年:25試 12勝8敗 防3.27

・川島亮(ヤクルト)☆2004年セ新人王
04年:23試 10勝4敗 防3.17
06年:9試 2勝2敗 防3.83

・久保康友(ロッテ)☆2005年パ新人王
05年:19試 10勝3敗 防3.40
07年:21試 9勝8敗 防4.00

・八木智哉(日本ハム)☆2006年パ新人王
06年:26試 12勝8敗 防2.48
08年:2試 1勝1敗 防御率6.75

・田中将大(楽天)☆2007年パ新人王
07年:28試 11勝7敗 防3.82
09年:25試 15勝6敗1S 防2.33

・岸孝之(西武)
07年:24試 11勝7敗 防3.40
09年:26試 13勝5敗 防3.26

・澤村拓一(巨人)☆2011年セ新人王
11年:29試 11勝11敗 防2.03
13年:34試 5勝10敗 防3.13


とにかく目立つ……故障による成績の悪化


 15シーズンで該当者は14人。まず目につくのが新人王の多さだ。2桁勝利は新人ならずともひとつの目標となる目安だけに、新人が達成できれば評価は一気に上昇する。2桁勝利を挙げる投手が出た場合、新人王は必ずその中から選出されている。

 さて、そのうち3年目も2桁勝利に到達したのは上原、松坂、石川、和田、田中、岸の6人。一気に半減している。しかも、1年目より勝利数を上乗せできたのは田中と岸のたったふたりだけ。もちろん、新人で20勝を挙げた上原のように1年目の数字が驚異的過ぎる例もあるが、新人年から3シーズン継続して活躍することがいかに難しいか分かるだろう。援護率など野手の成績によって左右されづらい防御率を見ても、1年目より好成績を残しているのは、福原、和田、田中、岸のわずか4人である。

 それでも驚異的なのがやはり松坂だ。3年目には、失点や負けも込んだが、最多勝、奪三振のタイトルや尋常ならぬ投球回数と12完投などを記録し沢村賞を受賞した。さすが“平成の怪物”である。

 全般的に3年目には成績を落とす選手が多いようだが、気になるのがその要因だ。とにかく故障が目立つのだ。上原は開幕直後に左太もも肉離れ、後半戦には右膝を故障。川越は前年に右肘を故障しオフに手術。木佐貫はシーズン中に右肩甲骨を手術。川島は前年に右肩痛を発症。久保は打球を受け左第5中手骨骨折。八木は前年からの左肩痛が後を引いた。

 3年目に大車輪の活躍を見せた松坂も、その投げ過ぎが響いたか、続く4年目には開幕6連勝と好スタートを切るも5月に右肘を痛め長期離脱。結局、西武在籍8シーズンで唯一の1桁勝利に終わっている。

 そもそも新人でいきなり10勝を挙げるような投手であれば素質は群を抜いていることは言うまでもない。ならば、やはり怖いのは、プロとして完全に体ができあがっていないうちからの酷使による故障だろう。「無事、これ名馬」とはよくいったもの。昨季、不運なけがにより約3カ月の離脱を余儀なくされた小川、右肘故障の影響が少なからず見受けられる菅野、そしてこれまで目立った故障がない藤浪も、3人そろって故障なく1年間戦ってほしいものだ。

文= 清家茂樹(せいけ・しげき)

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