コラム 2015.04.20. 17:30

「かわいすぎるスラッガー」谷口雄也の球歴とは

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5年目の今季レギュラー定着を目指す日本ハムの谷口雄也©BASEBALLKING
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剛力彩芽にソックリな「かわいすぎる」プロ野球選手!


 前年日本一のソフトバンクと、リーグ2位のオリックスによる一騎打ちが予想されたパ・リーグ。開幕してみれば、オリックスがまさかのダントツ最下位……。そんな状況で、首位を走るのが昨季3位の日本ハムである。

 若手育成に定評があるチームで、今季のブレークが予想されていたのが5年目の外野手・谷口雄也。「剛力彩芽にソックリ!」と野球以外のネタで話題になり、「かわいすぎるスラッガー」というフレーズがついた22歳(もうすぐ23歳)だ。

 谷口は1992年6月生まれ、三重県四日市市出身。兄の影響で野球を始め、小学1年生のとき、四郷少年野球クラブに入った。5年生の年に県大会出場、6年生で主将となったが、より高いレベルをめざして、東海地区を代表する強豪硬式クラブ・四日市トップエースボーイズ(ボーイズリーグ所属)に移籍。野手も投手もこなしながら、中学3年生までプレーした。チームは1年夏、2年夏に、中学硬式ナンバーワン決定戦・ジャイアンツカップ出場。2年春のボーイズリーグ全国大会では準優勝を果たしている。

 逸材として注目を集めていた谷口は「プロになりたい!」という決意を持って、愛工大名電高校(愛知)に進学。イチロー(現・マーリンズ)らを輩出したことでも知られる高校球界の名門であり、2学年下には浜田達郎(現・中日)がいた。しかし、甲子園には一度も出られず。当時の愛知県では中京大中京高校が強さを誇り、谷口が2年の春から4季連続甲子園出場。2年(2009年)夏はエース・堂林翔太(現・広島)を擁して全国制覇。3年(2010年)夏はプロ注目のキャッチャー・磯村嘉孝(現・広島)が率いて甲子園出場。主将を務めながら投打に奮闘したが、愛知県大会5回戦で東邦高校に敗退。高校野球生活を終えた。

 その一方、谷口個人はドラフト候補として注目を集めていた。3年春は181センチ77キロ、ポジションはショート。野球関連の雑誌は「守備の動きにリズム感と余裕があり、送球動作もダイナミック」と評していた。3年夏は体重が83キロに増量し、ポジションはセンター兼ショート。「東海地区ナンバーワンの左打者!」「複数のプロ球団が注目する走攻守三拍子そろった中距離ヒッター!」と絶賛される選手に成長した。

 50メートル走5秒8、高校通算44本塁打といった数字も評価され、2010年秋のドラフト5位で日本ハムが指名。「何番目でもよかったので、本当にうれしいです。打って投げて走れる、オールラウンドプレーヤーになりたい」と笑顔を見せた。


心の内は雄々しく、外野の一角を狙いにいく!


 プロ1年目となる2011年は、ファームでチームトップの100試合出場。2年目の2012年は、20試合連続安打などヒットを量産。7月にはファームの月間MVPに選ばれた。1軍初出場もこの年で、9月4日、東京ドームで行われた楽天戦で、2番・ライトとしてスタメン出場を果たしている。3年目の2013年は、ファームで92試合、1軍で14試合。昨季は自己最多となる1軍72試合出場、打率.268。一つひとつ階段を上がるように、着実に成長を続けてきた。

 ドラフト同期には「ハンカチ王子」斎藤佑樹、西川遥輝らがいて、ファームの本拠地・鎌ヶ谷では多くの女性ファンに囲まれることも。それを嫌がる風もなく、5年目となる今季直前のインタビューでは「剛力さんのおかげで、スポーツ新聞やテレビで名前を出してもらった。あとは野球でアピールしていきたいですね」と答えていた。人間性のよさは、小学校、中学校、高校の指導者の折り紙付き。愛工大名電高の倉野光生監督はドラフト後、「スカウトの方は、谷口の人間性も評価してくれたと思います」とコメントしたほどだ。

 そして、つかんだ初の開幕1軍。楽天の先発・則本昂大に対し、昨季は9打数6安打、打率.667という相性の良さを買われ、8番・DHでスタメン出場。ノーヒットながら、追加点を奪う犠飛で打点1。最低限の結果を残した。その後は、西川遥輝、陽岱鋼の負傷による代役として出場機会を得ているが、新外国人・ハーミッダ、岡大海など、人材豊富な外野陣に食い込むため、1試合1試合が勝負である。

 開幕前は、「外野はどこでも守れる準備をしたい。代打でも代走でも守備固めでも、常に準備を怠らないようにします」と決意を語った。「かわいすぎるスラッガー」の心の内は、その顔立ちと裏腹に雄々しい。そして、もう一つ、スラッガーではなく中距離打者だという自覚もある。

 せっかくつけてもらった斬新なフレーズだが、今季はそこから脱する年になるかもしれない。打って走って守ってグラウンドを熱くする男・谷口雄也。その勇姿は、どんな言葉で飾られていくのだろうか。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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