「ライオンズブルー」の真の後継者は誰か?
今季のパリーグには興味深い話題がある。西武ライオンズの黄金期を築いた4人が各チームの監督に就任して相まみえるのだ。
ソフトバンク・工藤公康(52歳)
楽天・大久保博元(48歳)
同時期に4人の元チームメートが指揮官として対決するのが極めて稀なこと。さらに、もう少し調べてみるとセ・パ両リーグにわたって元ライオンズ出身のコーチはびっくりするほど多い。
中日に森繁和、辻発彦やロッテなら立花義家、清水雅治、楽天では苫篠誠治、森山良二ら。巨人にも豊田清、小関竜也がいる。西武を除く11球団のうち6球団に14人のコーチを輩出しているのだ。
巨人の黄金期である“V9”メンバーのうち広岡、森、高田、土井らが他球団で指揮をとった例があるように、常勝軍団には必勝法を知り尽くした強者がいる。
このV9巨人に次いで圧倒的な強さを誇ったのが1980年代から90年代前半にかけてのライオンズだろう。82年から94年にかけての13年間でリーグ優勝11度、日本一にも8度輝いている。当時のライオンズの主力選手たちが今や各球団の指導者として席巻しているわけである。
西武が巨人に代わって「球界の新盟主」にのし上がった時代。今回の4監督の入団に至る背景もまた面白い。
工藤は81年のドラフト6位。愛工大名電高時代から怪腕として鳴らしていたがドラフト会議の時点では社会人野球の熊谷組へ入社が既定路線のように語られ各球団が敬遠する中、西武が一本釣り。
伊東もまたその前年の81年ドラフト1位だが、こちらは熊本工高の逸材を西武の地元・所沢高に転校させて囲い込み。ライバル球団が手を出せない状況を作ってから1位指名という秘策を使っている。
豊富な資金力を背景に根本陸夫(故人)という凄腕の寝業師がスカウト部長、球団本部長として次々に有望選手を入団させたことで西武王国は誕生した。
そんな「ライオンズブルー」の真の後継者は誰か?勝者の切符はたった1枚しかない。
文=荒川和夫