日本人打者歴代2位・52本も夢ではないハイペース
日本ハムの主砲・中田翔が例年にないハイペースで本塁打を量産している。
5月23日のソフトバンク戦では外角いっぱいの難しいボールを逆方向にスタンドインさせ、早くも今季16本目をマーク。2位で並ぶ李大浩(ソフトバンク)、松田宣浩(ソフトバンク)、クルーズ(ロッテ)、中村剛也(西武)の11本を大きく上回り、貫禄を見せ付けている。
分かりやすい比較対象として、過去に中田自身が16本塁打に到達した日付を見てみると、2011年から昨季まで順に10月2日、8月24日、6月15日、7月25日となる。
キャリアハイの28本塁打を放った2013年よりも約1ヵ月、27本塁打だった2014年と比べると2ヵ月も早いのだから、今季の中田がいかにハイペースで本塁打を量産しているかが分かるだろう。ちなみに、プロ野球記録の60本塁打を記録した2013年のバレンティン(ヤクルト)が16本目を放ったのは、6月6日である。
46試合での16本は、シーズン143試合に換算すると、49.74本。2002年に松井秀喜(巨人)が記録して以来の日本人打者50本塁打という大台も視野に入ってくる。
また、1本の本塁打に必要な打数を表す本塁打率は、現在10.375(166打数で16本)。仮に、全試合出場を果たした昨季と同じシーズン531打数に換算してみると、51.18本を記録することになり、野村克也(南海/1963年)、落合博満(ロッテ/1985年)が記録した日本人打者歴代2位の52本塁打すら夢ではないほどの量産ペースなのだ。
大記録達成の“キモ”は…
しかし、どんな強打者であっても波はあるもの。シーズンを通して一定のペースで本塁打を打ち続けることは現実には難しい。
ただ、昨季より10キロ以上も体を絞った結果、「体がキレている」との自身の発言通り、スイングも鋭くなった印象がある。さらにはインタビュー等で見せる言動から“4番”、そして“チームリーダー”としての自覚もうかがえる今季の中田には、期待せずにはいられないのだ。
昨季、初の個人タイトルである打点王を獲得した日本の4番が、今季は松井、落合、そして野村らに並ぶような本塁打王に……と夢は膨らむが、その道程に試練がないわけではない。それは、セ・パ交流戦だ。
昨季の交流戦個人成績において、中田は本塁打ランキング16位、わずか3本塁打に終わっている。
交流戦中の本塁打率は30.00。交流戦前の本塁打率が17.11、交流戦も含めたシーズン通算の本塁打率が19.67であることからも、交流戦中に失速したことがはっきりと分かる。
5月26日から始まる交流戦でいかにペースを落とさず本塁打を重ねられるか、過去のレジェンドたちへの中田の挑戦が始まろうとしている。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)