4月の快進撃から一転…5月は9連敗で急降下
オフに成瀬善久、大引啓次と補強を敢行しシーズンに挑んだヤクルト。1956年西鉄の記録を59年ぶりに更新する、開幕から14試合連続3失点以下を記録し、一時は首位に立つなど快進撃を見せた。
しかし、4月下旬に4連敗を喫すると、5月4日からは9連敗。一気にBクラスへと転落。開幕から4月終了までと、5月以降ではどのような点が違うのか。また、逆襲のカギはどこにあるのか。数字の面から探ってみよう。
イニング別得失点を見ると、開幕から4月終了時点で最も得点を記録したのが5回の16点。初回と8回の12点が続く。失点が最も多かったのは7回の18点だ。
5月の最多得点イニングは2回と6回の12点。最多失点イニングは3回の15点である。
9イニングを3分割した得失点は以下のようになる(延長は別扱い)。
開幕から4月中(28試合)
1回~3回=19得点 / 19失点4回~6回=32得点 / 17失点
7回~9回=23得点 / 27失点
延長戦 = 6得点 / 0失点
5月(19試合)
1回~3回=27得点 / 29失点4回~6回=22得点 / 36失点
7回~9回=15得点 / 17失点
延長戦 = 1得点 / 1失点
こうして見ると、5月以降は序盤から中盤の失点が多いことが明確だ。
4月までと比べ、序盤の得点は増えているが、中盤の失点も増え逆転される試合が目立っている。先制した試合の勝敗が4月までは9勝4敗だったが、5月以降は3勝3敗と先制した試合でも半分しか勝てていない理由のひとつは、中盤での失点にあると見て間違いない。
また、先発投手が6イニング以上投げ、自責点を3以内に抑えたQS(クオリティ・スタート)の確率が、4月まではリーグ2位の78.6%だったが、5月以降はリーグワーストの31.6%まで落ちている。
セットアッパーのオンドルセク、クローザーのバーネットは万全なだけに、先発陣の踏ん張りがきかなくなっているのは痛い。
調子が上向きつつある若き主砲・山田哲人
打線でのキーマンは、やはり山田哲人だ。
昨季はセ・リーグのシーズン最多安打を記録した山田だが、今季は4月までの打率が.269と調子が上がらず。9連敗中も、打率.257と山田のバットは湿っていた。
しかし、5月全体で見ると打率.329を記録。22日からの広島との3連戦では2安打、4安打、3安打と全試合で複数安打を記録するなど調子は確実に上向きだ。リードオフマンの山田の状態が上向いてくれば、打線全体にもリズムが生まれ得点能力に好影響をもたらすだろう。
今週から交流戦が始まるが、ヤクルトは2010年から5年連続で負け越している。
昨季は、10勝12敗2分。2013年は7勝16敗1分、2012年は9勝15敗で最下位、2011年は10勝12敗2分、2010年は9勝14敗1分。過去10年の交流戦で勝ち越したのは2005、2006、2009年の3度しかない。
今年から1カード3連戦の方式に変わり、6連戦が3週間続く。昨季まではある程度余裕を持って投手陣を回せたが、今季は負担がかなり大きくなるだろう。
先発の駒不足が心配な状況だけに、疲れが見え始めている石川雅規、石山泰稚、不調の成瀬といったメンバーがどこまで試合を作れるか。彼ら先発陣の復調と、昨季の交流戦で打率.378を記録し首位打者となった山田のバットで上位争いに再び食い込みたいところだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)