コラム 2015.06.15. 17:00

アマチュアエリートが本領発揮! 内野の救世主・高田知季の球歴とは?

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アピールを続けるソフトバンクの高田知季©BASEBALLKING 
ソフトバンク 高田知季

本多雄一が離脱のピンチに3年目の若手が台頭!


 リーグ優勝、日本シリーズ制覇と見せつけた昨年の強さが、完全によみがえった印象すらあるソフトバンク。昨年とほぼ変わらぬ盤石のスタメンで臨む中、4月12日の日本ハム戦で、セカンドの本多雄一が右足首を負傷。登録抹消となった。

 明石健志、川島慶三といった実績ある選手がその穴を埋めているが、大卒3年目の高田(たかた)知季もまた存在感を示している。

 高田は1990年5月生まれ、兵庫県姫路市出身。姫路市立大津小学校1年生から、ソフトボールを始めた。姫路市立大津中学校に入学すると、硬式クラブ・龍野ボーイズ(ボーイズリーグ加盟)でプレー。中学卒業後は親元を離れ、岡山理科大学附属高校に進学する。

 2年夏の甲子園にはレギュラーとして出場。チームは1回戦で敗れたが、その能力を全国の舞台で披露した。新チームでは、ショート兼ピッチャー。3年夏前の資料によれば、身長176センチ、体重65キロ、握力は左右とも50キロ、背筋力200キロ、遠投110メートル、50メートル走6秒1。「正確なフィールディングに安定した送球」「打撃ではヒットゾーンが広い」といった賞賛のコメントが専門誌に並ぶ。
 
 なお、当時の岡山県には、1学年下に最速141キロ右腕・岡大海(倉敷商業高→明治大→日本ハム)がいて、「投打の逸材」と注目を集めていた。中国地区に範囲を広げれば、高田と同じく2年夏の甲子園に出場して準優勝に貢献した上本崇司(広島・広陵高→明治大→広島)、上本のチームメートで、高校から即プロ入りを果たす中田廉(広陵高→広島)らがいた。

ソフトバンク 高田知季

プロで味わった挫折を挽回して3年目の本領発揮!


 高校3年の時点で、リストアップしている球団もあったという中、選んだ進路は亜細亜大学への進学。同学年には、現在もチームメートの東浜巨がいて、1学年下には九里亜蓮(現・広島)、2学年下には山崎康晃(現・DeNA)がいた。

 高田は1年からショートのレギュラーとなり、2年秋のシーズンは盗塁王を獲得。3年時には東浜とともに、日米大学野球選手権に出場する大学日本代表に選ばれた。 1学年上には、菅野智之(東海大→巨人)、野村祐輔(明治大→広島)、鈴木大地(東洋大→ロッテ)、伊藤隼太(慶應義塾大→阪神)、同学年には福谷浩司(慶應義塾大→中日)、1学年下には大瀬良大地(九州共立大→広島)、梅野隆太郎(福岡大→阪神)などがおり、現在、プロで活躍中の豪華メンバーの中でプレーした。

 4年時には亜大の副主将としてチームを引っ張り、大学選手権準優勝。明治神宮大会には3、4年と2回出場を果たすなど、十分な実績を残して4年間を終えた。迎えた2012年秋のドラフトでは、東浜、伊藤祐介(東北学院大/投手)に続く3巡目でソフトバンクが指名。即戦力と期待されてのプロ入りだった。

 しかし、順風満帆だったアマチュア時代から一転、プロでは苦い思いを味わう。1年目のキャンプは一軍帯同も、2日目に体調不良を起こしてリタイア第1号に。なんとか復帰して一軍初出場を果たし、5月2日には代走で1得点。だがその2日後、試合前練習で右足首をねんざして登録抹消となった。結局、プロ1年目は、一軍で11試合出場、2安打1盗塁という成績だった。

 2年目の昨季も、キャンプ初日に体調不良で離脱。「2年連続リタイア第1号」という不名誉な事態となった。シーズンではところどころで働きを見せるものの、優勝争いをするチームの戦力にはなれず。一軍で12試合出場、3安打2打点。さらに、今春キャンプではインフルエンザにかかり、3年連続リタイアとなった。

 しかし、今シーズンは一味違う。本多の負傷後、4月22日の楽天戦では初の猛打賞。守備での好プレーもあり、工藤公康監督は「よく打ってくれたし、いい働きをしてくれた」と褒めたたえた。6月7日の巨人戦では、家族が見ている前でプロ初ホームラン。亜細亜大の大先輩・松田宣浩に祝福され、試合後は「まさか入るとは思いませんでした。初めてで状況がわからなくて……」と初々しいコメントを残した。

 先述のように、明石、川島との併用で、試合によっては打席に立たないこともある。それでも、守備ではセカンド、ショートと、慣れないファーストもこなすなど、目立たないところでもチームにしっかりと貢献している。

 高田知季、愛称は通販大手「ジャパネットたかた」にちなんで、「ジャパ」。3年目の本領発揮に、大いに期待したい。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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