200回以上試みた選手のなかで日本歴代トップの成功率
マイアミ・マーリンズのイチローが日本時間19日のミルウォーキー・ブルワーズ戦で4安打を放った。イチローの1試合4安打は2013年7月以来、約2年ぶり。また、その試合の5回にはシーズン10個目の盗塁を決め、メジャーデビューした2001年から15年連続、オリックス時代から数えると22年連続でシーズン2桁盗塁を記録した。
出塁数が多く、足が速ければある程度までは盗塁数を積み重ねることができるかもしれないが、イチローは成功率も抜群に高い。オリックス時代、通算で盗塁を232回試みて199回成功。成功率は.858。日本のプロ野球史上200回以上盗塁を試みた選手のなかで、これは歴代トップの成功率だ。日本の通算盗塁記録を持つ福本豊(阪急)は1364回試みて1065回成功で成功率.781。歴代2位の広瀬叔功(南海)は719回試みて596回成功で成功率.829。企図数にこそ違いはあるが、イチローの成功率はやはり際立っている。
海を渡ってからもイチローの成功率に陰りは見られない。2006年は、盗塁を47回試みて45回成功で成功率は驚異の.957。昨季までのメジャー14年間で成功率が8割を切ったのはたった3度で、成功率9割以上のシーズンを2度記録している。
あのリッキー・ヘンダーソンをも上回る成功率!
今季の成績を含めたイチローのメジャーでの盗塁成功率は.813(611企図497成功)。通算盗塁の世界記録1406盗塁を持ち「史上最高のリードオフマン」ともいわれるリッキー・ヘンダーソンの成功率は.808でイチローのほうが高い。
メジャーで盗塁死を公式記録としてつけるようになったのは1912年からである。メジャーの通算盗塁数歴代トップ10のなかで、1912年前後にプレーした選手が5人いるため正確な数字はわからないが、成功率が判明している選手ではイチローより成功率が高いのは.847のティム・レインズしかいない。通算盗塁数を450盗塁以上に下げてもイチローの成功率は歴代4位だ。
セントルイス・カージナルスのヤディアー・モリーナのように、メジャーの捕手には驚異的な肩を誇る捕手がいる一方で、投手のクイックモーションなどの技術は日本よりも劣る。「盗塁を決められても打者を抑えればいい」といった考え方や、手足が長くモーションが大きくなってしまうことが一因だ。しかし、だからといって成功しやすいわけでもない。徹底マークされていても、より高い確率で盗塁を決めることができるイチローは盗塁でもメジャーでも屈指の技術を持っているといっていいだろう。
メジャー通算500盗塁に残り3盗塁となったイチローだが、長いメジャーの歴史で通算500盗塁以上を記録している選手は37人。また、過去に29人が記録しているメジャー通算3000安打にも残り77本となり、到達が現実的になってきた。通算3000安打以上、500盗塁以上の両方を記録した選手は過去に6人しかいない大記録である。
日米で様々な記録を樹立し、ファンを沸かせてきたイチローは、まだまだ我々を楽しませてくれそうだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)