日本記録更新の可能性を残す西武・秋山
秋山翔吾(西武)が球史に大きくその名を刻んだ。9月13日のロッテ戦で、史上6人目(7回目)となるシーズン200安打を記録したのだ。
開幕からスランプなど無縁とばかりに安打を積み重ね、7月には31試合連続安打を記録。高橋慶彦(当時広島)の33試合にわずかに及ばず、36年ぶりの日本記録達成とはならなかったが、今季序盤からメディアをにぎわせてきた男が金字塔を打ち立てた。
さらに、2010年にマートン(阪神)が記録したシーズン安打数の日本記録更新にも期待がかかる秋山。
ここまで133試合に出場し202安打(9月18日終了時点)。1試合平均でみれば1.51安打となる。残り10試合で13安打を放てば新記録の215安打に到達する。1試合あたりに求められる安打数は1.3本であり、これまでのペースなら達成の可能性は十分にあるといえよう。
130試合制の200安打達成者はイチローのみ
秋山が200安打に到達したのは131試合目。134試合目だったマートンを上回る歴代2位のスピード記録だ。その秋山の上に鎮座する男こそ、史上初めて200安打の壁を打ち破った、ご存じイチロー(現マーリンズ)である。
1994年、イチローが200安打に到達したのは、今年の秋山をはるかにしのぐ122試合目であった。安打数はシーズンの試合数に大きく左右される。秋山以前のシーズン200安打達成者は5人(6回)だが、イチロー以外は全て146試合、あるいは144試合制となった2005年以降の記録だ。
一方、イチローが200安打を達成した1994年は130試合制。200安打達成者が現れたシーズンが全て130試合制だったとしたら、驚異的なペースで安打を量産している今年の秋山も含め、イチロー以外の誰ひとりとして200安打には到達できなかったということになる。
また、もし仮に1994年のイチローが今季と同じ143試合に出場していたら…なんとシーズン231安打という、信じられないような記録を残していた計算となるのだ。
来月には42歳となる稀代のヒットメーカーは日本時間の9月16日、歴代34位タイとなるメジャー通算2932安打目を放った。日本球界に伝説を残してから21年、イチローの打撃への探究心は衰えることがない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)