防御率5.22の前半戦から、後半戦は3.18に!
シアトル・マリナーズの岩隈久志が、9月に入ってから好調だ。
現地時間22日のロイヤルズ戦で先発すると、7回を投げ被安打3、今季自己最多の10奪三振、与四球1で無失点に抑えた。2回以降は二塁すら踏ませない、ほぼ完ぺきなピッチングで9勝目。チーム打率が.270(メジャー全体2位/日本時間29日現在)を誇るロイヤルズ打線を相手に、実に見事なピッチングを見せた試合だった。
残りの登板でひとつでも勝利を挙げれば、3年連続2ケタ勝利となる。日本人では野茂英雄、黒田博樹、ダルビッシュ有に次いで4人目の快挙だ。
前半戦の岩隈というと、ケガの影響もあってか5試合の登板に終わり、わずかに1勝。防御率は5.22と打ち込まれた。1イニングあたりに許した走者の数を示す指標・WHIPも1.23。昨季が1.05で、2013年は1.01を記録した岩隈からすれば考えられないような数字だった。
しかし、後半戦は13試合に登板し、ノーヒットノーランを含む8勝、防御率は3.18で、WHIPは1.00という成績。先発して6イニング以上を投げ、自責点を3以内に抑えるクオリティー・スタート(QS)も13試合中11試合で記録するなど、岩隈本来のピッチングが戻ってきた。
今季終了後にFAとなる岩隈はオフの注目選手のひとり
8月以降は10試合に登板し、4失点以上喫したのは現地時間8月24日のアスレチックス戦の1試合だけ。先発としての役割をしっかり果たしている岩隈であるが、前半戦との大きな違いは被本塁打にある。
前半戦は29回1/3を投げて9本の本塁打を浴びたが、後半戦は93回1/3で9本塁打にまで減らした。低めを丹念に突いてゴロを打たせるのが岩隈の持ち味だが、被本塁打の少なさからも後半戦はそういったピッチングができていると見て良いだろう。
チームは27日時点で74勝82敗、ア・リーグ西地区の4位に甘んじている。ワイルドカード争いでも後れを取っていて、プレーオフ進出はほぼ絶望だ。
そのため、岩隈の今季の登板は残りわずかとなるが、来季に向けての課題として「ホームゲーム」と「ナイトゲーム」でのピッチングを挙げておきたい。
敵地では5勝1敗、防御率2.56という好成績を残しているのに対し、本拠地では4勝4敗で、防御率4.71。また、デーゲームでは3勝1敗、防御率1.84となっているのに対し、ナイトゲームでは6勝4敗、防御率4.69という対照的なデータが残っているのだ。
今季終了後にはマリナーズとの契約が切れ、FAとなる岩隈。後半戦に見せた安定感からも、今オフに争奪戦となるのは間違いないだろう。今シーズンも残りわずかとなったが、今後の登板が自身の契約にどういった影響を及ぼすのかにも注目だ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)