コラム 2015.11.17. 09:20

プロで惜しくも輝けなかった「たられば選手」赤川克紀

「野球はやらない」と決意したかつてのドライチ左腕


 プロ野球界は怪物たちによる弱肉強食の世界。忘れられがちだが、この世界に入れた時点で、大多数の選手は「怪物」なのだ。

 しかしプロ野球に入っても、一軍の試合に出場して、さらにスター選手として光り輝けるのは、ほんのひと握りの選手しかいない。厳しい競争に敗れた選手たちは、毎年ドラフト会議で新たな選手が指名される分だけ去っていく。そのなかには、ちょっとした運命のめぐり合わせ次第で、もっとスポットライトを浴びることができたと思わせる選手も含まれている。

 今年あえなく戦力外通告を受けたり、現役引退を決意した選手のなかから、そんな「たられば選手」を探してみた。今回は赤川克紀(ヤクルト)を取り上げてみたい。

 この秋、ヤクルトから戦力外通告を受けた赤川克紀は、「もう、野球はやりません」とコメントしたという。その言葉を裏づけるように、11月10日に行われた12球団合同トライアウトにもエントリーしなかった。

 まだ25歳の若者が野球に疲れてしまう。赤川がプロの世界で嘗め続けた辛酸の深さを感じさせられる。

 赤川は宮崎商時代に最速147キロを誇る大型左腕として注目され、2008年のドラフト1位でプロ入りした。テークバックで左ヒジを弓のようにしならせるフォームは山本昌(元中日)によく似ていた。まさか、今年でちょうど倍の年齢になった本家と同じ年にボールを置くことになるとは思いもしなかった。

 プロ3年目の2011年には23試合に登板して、6勝3敗、防御率2.03、クライマックス・シリーズでは巨人戦で勝利投手になるなど、ブレークの兆しを見せる。翌2012年には規定投球回に達して8勝9敗、防御率3.79、オールスター戦に出場して、まさに順風満帆に見えた。


もしボールが「低反発球」のままだったら…


 しかし、ここから赤川の野球人生は暗転してしまう。本来、走者を背負ってからの粘り強い投球が持ち味だったはずなのに、簡単にホームに還してしまうようになった。2013年は0勝5敗、2014年は0勝2敗、そして今季は一軍登板なし。二軍でも25試合の登板で1勝3敗、防御率7.16と、解雇されても仕方ない惨憺たる成績に終わった。

 結果的に勝ち星をあげることができたのは、2011年と2012年の2年間だけ。この2年間は「低反発球」が導入され、球界全体の投手成績が飛躍的に向上し、反対に打撃成績が落ち込んだ時期でもあった。すべての投手が同じ条件でプレーしているだけに、赤川の失速の原因をボールのみに求めるのは安易に過ぎる。だが、この2年間でつかんだはずの感覚が「商売道具」が変わったことによってリセットされてしまったとしたら……。

 プロでの球速は140キロ前後で、スピードよりもボールのキレで勝負するタイプだった赤川。野球断念はあまりに惜しい決断だが、次のステージでの活躍を祈りたい。

文=菊地高弘(きくち・たかひろ)

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